2020/11/26 加筆修正
早期教育で勉強が嫌いになってしまっては元も子もありません。
関連記事 早期教育の是非
早期教育がのちのち大きな効果をもたらすかどうか、二つ返事で間違いなく有効であるとは言えません。しかし、早期教育によって勉強が嫌いになってしまったとしたらえらいことです。勉強に負のイメージが付くと「三つ子の魂百までも」の諺の通り将来にわたって禍根を残してしまいます。それでは完全に失敗です。
絶対にそうならないために、早期教育の時期は勉強に対して良いイメージをつけておくことが最重要です。最低限、「勉強は嫌いじゃない」という位置をキープすることです。
そのためは気をつけたことは、勉強ができなくても絶対に叱らない、ということでした。特に幼児期にはそれを心掛けていました。今回は、どうしてそれをしてはいけないのか、そして、それを防ぐためにどうしてきたのか、を書いていきます。
子供が勉強ができないと異常に腹が立つ
親が子供に勉強を教えるときの大きな問題として「どうしてこんなこともわからないの?」と、腹を立ててしまうことがよくあります。
母の思い出
私が小学生の頃、母からそろばんを教わるときに、異常なくらい怒られた経験があります。母から勉強を教えてもらったことなどそれまで一度もなかったのですが、ちょうど学校の授業でそろばんがあり、普段から家業の会計でそろばんを使用していた母から教わることになりました。
私はそろばん初心者でした。指の動かし方もろくにわかりません。それなのに、そろばんの押さえ方が違うとか、繰り上がりの指使いが違うとか言って、マジギレなんです。何でそんなに腹が立つのか、と思うくらい怒られました。たぶんつねられもしました(母の暴力はつねり攻撃です)。私と似たような経験をした方もいらっしゃるでしょう。
公共の場で叱る母親
一方こちらは現代の話です。電車内でこんな光景に出会いました。小学生の子供にお母さんが「ひまわりは何科?」と聞いていました。答えられないと声を荒らげて、キク科に決まってるでしょ! これはお子さん気の毒だなと思うと同時に、さすがに人前ではみっともないと思いました。恥ずかしいよりも子供が答えられない腹立たしさが上回る。それが怖い。また別の機会には、ファストフード店で、模試の結果で怒ってるお母さんもいました。シュンとなったお子さんが気の毒でした。
このような目にあった子供は、勉強するときに完全には集中できなくなります。たとえひどい事をされたとしても、子供は親のことが大好きですから、どうしても親の顔色をうかがってしまいます。そうなると、いつ親が怒り出すかという不安が頭のどこかに残り、集中力が欠けてしまうのです。勉強に対するイメージの良くなるはずがありません。
昔も今もあまりによくあることなので、心理学的に名前が付いているんじゃないかと思うこの現象。その現象を実体験し、よく耳にし、遭遇もしてきた私は、自分の子供にはそれだけはするまいと決めていました。
善いことをして叱られるのはおかしい
勉強は絶対善
勉強することは絶対的な善である、という話を読んだことがあります(和田秀樹氏の著作だったと思います)。勉強することは他の誰にも迷惑をかけません。教養をつけたり自己を高める貴い行為です(それによって人を見下したりすれば問題ですが、それは人格面の問題で、勉強することとは別の話です)。だから、絶対という言葉はきつく感じますが、善という点では疑いない。にもかかわらず、善いことをしているのに叱られる。実におかしなことです。善行をして嫌なことが起こるなんて! これでは勉強に対してマイナスイメージが付いて当たり前です。
お手伝いでも腹が立つ?
例えば、お手伝いをしている子供に、失敗したからといって烈火の如く怒ることはあまりないでしょう。「あらあら、失敗しちゃったの、大丈夫よ、次からは気をつけようね。」だと思います。そもそも、お手伝いをしてくれようという心意気が、親にはうれしいのではないですか。だからそういう子供には、基本的に誉めることしかしないですよね。どうして勉強で同じことができないんでしょう。
子供は失敗するもの
もとより子供は失敗するものです。個人差はありますが、なかなか覚えてくれないこともたくさんあります。そんなことにいちいち腹を立てていてはいけません。まずは耐え忍ぶのが親の仕事です。さらに進んで、当たり前のことと受け流せるようになるべきです。これについては慣れることです。私は最初から決めていましたから何とかなりましたが、理屈がわかっていれば誰でもできるようになります。
失敗を叱らず見守っていれば、頭が柔軟で吸収力のある子供ですから、必ず壁を壊し先に進むときがやってきます。そのときは思い切り誉めてやればいいんです。きっと親子一緒に大喜びできるでしょう。
勉強以外の原因ではきちんと叱る。その時の叱り方は?
ところで、誉めるといっても何をしても誉めれば良いというわけではありません。勉強でミスしたときに、ミスの中にも光るものを見つけたならそこを褒めてやれば良い。しかしただのミスで無理に誉めていてはわざとらしいし、子供だって気がつきます。だいたいミスすれば子供だって悔しいものです。そういうときは慰めて励まして、次は同じミスをしないように原因を共有することです。
それでも同じミスを何度も何度も繰り返したら、これには注意が必要です。真剣に取り組んでそれでもなおミスしている場合なら、それはおそらく壁にぶつかっているのですから、何度でも何度でも再トライすることになります。どんなに時間がかかっても待ちます。壁を壊し成長する場面が見られる絶好のチャンスです。
しかし、真剣味が薄く惰性で同じミスを繰り返していたとしたらどうでしょう。それは勉強をナメているということです。その場合は、勉強を起因とするものですが、もはや生活態度に関わることと言えます。だからこれは叱る必要が出てきます。
同様に態度が悪いなどの目に余る行為に対しても、毅然と叱る必要はあります。悪いことは悪いこととして、勉強ができないこととは一線を画することなので、勉強中のことであってもキチンと叱りました。
叱るなら冷静であることが不可欠です。6秒たってから気を鎮める時間をとるという、アンガーコントロールの基本を知っているだけでも違います。そして、決して人格を攻撃しない。悪い行為のみを冷静に叱ることです。これは勉強に限らず生活全般に共通ですね。
大事なことは怒るではなく叱るということです。偉そうに言ってますが、これがなかなか難しく、うまくいかなかったこともあります。そういうときはしっかり反省して謝れば、トラウマとして残ることはありません。もちろんしょっちゅうではダメですよ。
最近はまったく叱らない育児法があったりして、実際おじいちゃんのように優しいだけのお父さんを頻繁に見かけます。信念なのでしょうが、叱らない代わりに丁寧な説明もしない。それではただの放任です。
先取り学習を急ぎすぎない
腹を立てない方法のひとつは、あまり先取り学習を急がないということです。勉強にはフライングもスピード違反もない、とは有名な先生のセリフです(正確には、勉強には~ではなく、受験には~です)。その通り、先取り学習は確かに有利です。
しかし勉強の理解度には個人差があります。ゆっくりじっくりと基礎を固めてから後伸びする子だっているんです。誰でもスピード違反できるわけではありません。親はきちんと理解できているかどうかを見極める必要があります。。
先取りすることが目標になってしまうと、どうしたって無理することになりがちです。そうなるとできないことが増えるので腹が立ちやすくなる。特に算数ではそうなる確率が他科目より高い。あまりにも算数の先取りを進めるよりは、読書させたり日記など文章を書かせる方が、結局算数も後伸びします。同時に腹が立つことも少なくな流でしょう。
もっとも、親子で楽しくやっているならば、幼児期にいくら先取りしてもいいと思います。ざっくりと予習しておくことで、本番の学習での理解度が高くなる。これは勉強の基本です。
結論
勉強では決して叱らず、それ以外では正しく叱りましょう。腹が立つ材料は減らすようにしましょう。それらが頭で理解できているのに、なお腹が立ってしまうようなら、残念ですが教えることをやめたほうが無難です。
コメントをお書きください