我が家では小中高の12年間ずっとリビング学習を続けました。
今回は実際にそれをやって来て、良かったこと、問題点、感想を紹介していきます。
子供がリビングで勉強をする、という話を初めて聞いたのは、息子が幼稚園に入るか入らないかのころでしたから、もう15年以上前になります。東大生またはその親のインタビュー記事のようなものを雑誌で読んだんだと思います。それをきっかけに、以降、書籍、雑誌、テレビでリング学習の話を頻繁に見かけるようになりました。その多さに驚くと同時に、考えている親って結構いるもんだな、と感心させられました。
今ではすっかり市民権を得たリビング学習ですが、どんなものであるかについては検索すればいくらでも出てきます。だから我が家ではそれにどう取り組み、その結果どうだったのかに焦点を絞って書きたいと思います。
物理的効果
リビング学習を知ったのが幼稚園時代だったから、我が家でもちょっと後にそれを本格的に取り入れることになります。小学校に上がるときに学習机を買わなかったのです。結局大学に入り現在に至るまでずっと持ちませんでした。部屋によけいな物をずっと置かずに済んでスペースを有効利用できたことは、リビング学習における物理的な効果で、ある意味最大のメリットだったかもしれません。
勉強する姿が見える
物理的効果以外での最大の利点は、何と言っても勉強する姿が見えることです。監視する、というほどの厳しい考えではありません。しかし、放っておいて勝手に勉強してくれるかというとちょっと難しい。昔の自分がそうだったからです。
放っておいたら勉強しない
思い返しても、机に向かって、勉強がはかどった記憶があまりありません。何より親の目がないものですから、何をしようと自由気ままです。勉強の記憶はなくても、本を読んだり寝たりラジオを聴いたりと、そういうことは覚えているのです。いかに勉強机が本来の役割を果たしていなかったかは推して知るべしです。とにかく自分がダメ人間だったので、1人にして勝手に勉強するなんて、最初から信じてなかったという面が、我が家でのリビング学習導入に大きく影響しました。
子供も安心
息子の目線から見ても、親がいる方が安心できたのではないでしょうか。そもそも息子は、自分の部屋で1人でいることは寝るときくらいでした。小学校低学年までは親と一緒に寝てましたから、自分の部屋に入るのは、学校の時間割の準備をするときだけと言っても過言ではないほどでした。
要するにその年頃の子供って寂しがり屋が多いですから、家族がいるところから、1人去って自分の部屋にいくのは腰が重くなります。
勉強が日常になる
また、その移動しないといけない、というのがハードルになります。その点、リビングでそのままやれば「よいしょ」の手間が省けます。わざわざ勉強するスペースに行ってやらないといけない、と構えさせるよりも、そのままやれる方が勉強の日常感を演出できます。
勉強のオンとオフが曖昧になるという意見もあるでしょう。なるほど一理あります。これについては、メリハリをつけることよりも勉強を身近にすることを優先しました。これだとオンオフの境目ははっきりしませんが、自然と勉強に移行する習慣はついたと思います。
大学生になった現在、勉強が忙しくてオンの時間が長くなると、勉強をする日常習慣をつけておいたことが活きてきてます。おかげでそんなに辛くなさそうです。そしてオンの時間が増えた分、自然とオフへの切り替えも上手くできるようになったとのこと。結果オーライでした。
静かな環境が良いとは限らない
そもそも、勉強は静かな環境で誰にも邪魔をされずに、というところに反対です。カフェやファミレスで仕事がはかどることがあるように、適度な雑音は集中力を上げます。テレビの音くらいは、見たい番組でなければ、耳栓でもすればちょうど良くなることがあります。静かすぎると雑念が浮かびませんか?
もっとも、静かな環境を求めたいときはあります。音声教材を使いたいときとかです。そういうときにはリビングを出ることもありました。
いつでも勉強を見てやれる
他に良かったことは、いつでも勉強を見てやることができたことです。塾なしですから、それはどうしても必要でした。小学校、中学校くらいまでの勉強なら、だいたいのことはわかるので、質問があればすぐに答えてやることができました。高校でも一応質問してくることはありました。(数学や物理は役に立たないことがわかっているからか、してこなかったですが。)家庭教師ほど立派なわけではないですが、一応その代わりが2人いるのですから便利です。(国語は妻の方ができました。)
その質問というものは、何でも答えればいいというものではなく、自分で調べさせたり考えさせたりしないといけないことも多いです。そういうときに的確な指導ができるのもリビング学習の良いところでした。子供の疑問点を聞くことは、その時点での学習の到達度を把握できて、指導がしやすくなるメリットもあります。
記事タイトル下の写真はイメージですが、こちらは実際の写真です。いや、これでもかなり片付けてますかね。TVや雑誌に出ている綺麗なリビングはファンタジーなのかもしれません。
リビング学習の問題点
親の協力が必要だが無理は禁物
問題点もありました。親もできるだけテレビを見ないようにしないといけない、などの制約があることです。もっとも、子供にテレビを制限させるなら親も手本にならなければ説得力に欠けるため、ある程度は仕方ないです。理想的には、親もテレビを消して、読書をしたり勉強をしたりすれば、家族全体で良い雰囲気を作り出すことができたでしょう。
我が家では、そういう理想的なときもありましたが、結構テレビを見ちゃいました。食事をするところと勉強をするところが一緒なので、食べるときはテレビがついていることが多く、食後まで見続けることもしばしばでした。見事に親が子の足を引っ張ってますね。本来こういう家庭はリビング学習には向いてません。それでも何とかなったので、完璧であろうとする必要はないのかもしれません。
我が家では、ストレスにならない範囲で実践しました。あまりに辛くなって家庭の雰囲気が悪くなっては意味がありません。ちょっとがんばれば我慢できるところで折り合いをつけてやっていけば、そのうちに慣れて気にならなくなります。上手くバランスをとることが肝心ですね。
自主性が育たないは本当か
いつまでも親に頼っていないで自分でやらせるようにしないと、自主性が育たないと言う説は根強くあります。自主性なんてものは、年齢を重ねれば自然と身につくものだと思うんですが、そうじゃないと言う人もどうやら多いみたいですね。
でも、リビングでやっているからといっても、全部指示されたことをするわけではありません。始めた最初の頃こそそうでしたが、学年が上がるに従い、親は少しずつ手を離していき、最終的には自分でやれるようになれば良くはないですか? 現在の息子に、今や何の指示もしていませんが、独力でできています。自主性を持ってやってます。家に帰ってきたときはリビングでやることもありますが、もはや質問されることもありませんし、そもそも答えることもできません。うまくいったと思っています。
むしろ、自主性の名の下に、早い段階でひとりでやらせるのは、私から見れば責任の放棄だと思います。親の力を必要としているときには手を差し伸べるべきです。
まとめ
振り返ってみると、我が家のリビング学習は大変上手くいったと思います。
- 勉強を自然にする習慣がついた。
- 勉強を教えるのに役立った。
- 自主性も損なわれず、問題なし。
愛着ある学習机を粗大ゴミに出すなんていう葛藤にも無縁でした。
やり直せたとしてもまた間違いなく導入します。
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