こんにちは。大崎です。
算数ができるようになるにはどうするか。前回の文章題に引き続き、今回は残りの図形と数の分野です。
図形は文章題よりはマシだった
約40年前の私の中学受験の時にさっぱりできなかった文章題が、大人になってからできるようになってびっくり!という話をしてきましたが、図形については当時からそこそこできていました。そこそこというと語弊がありますね。まあ、平均くらいでしょう。まだ図形の方がやる気になったということです。算数全般にいえることですが、特に図形は覚えることが少なかったので、算数が得意な人とそうでない人の差が比較的出にくかったのだと思われます。
しかし、それも小学校の間だけ。中学に入って数学に移行すると、図形問題もどんどん覚えないといけないことが増えていきました。三平方の定理はわかりますが、チェバ、メネラウスあたりは名前だけ、それ以外はあまり記憶がありません。そうなってくると、勉強しない私がついて行けるわけがありません。よほど数学が嫌いだったんでしょうね。我ながら情けないです。
ともあれ、中学受験の図形も文章題同様、息子の中学受験準備の段階でやってみたら結構できました。ただし、当初は本当に時間がかかりました。時間さえかければ何とか解けるのですが… 。どうしてそんなに時間がかかったのかというと、覚えておくと便利な形が、私が受験した頃よりも多くなり、体系化してまとめられるようになっていたからでした。
図形は論理よりヒラメキ
図形は、文章題とはアプローチが異なります。明らかに論理的思考の比率が下がるのです。(もちろんそれが不要なわけではありません。)その分必要になるのがいわゆるヒラメキです。それでは抽象的すぎるのでもう少し具体的に言うと、問題の解き筋が「見える」かどうかということ。もっと具体的に言えば、補助線を引くべき場所が見えたり、合同、相似を見抜くことができるということです。
ヒラメキが必要とか言うと、センスがないと解けないと思いこんでいる人も少なくないです。センスというと元々備わっている力だと勘違いしているからです。でも実際にはその「センス」は鍛えて身につけることがことができるので大丈夫です。
その「センス」の正体が覚えておくと便利な形です。その形をたくさん知っていると、解く時間も短縮されますし、より難しいところに目を向けることもできます。補助線なども「見える」ようになってきます。考えなくても知っている形があることで、ヒラメキやすくなります。私が問題を解くのに時間がかかったのは、それを自由自在に使いこなせていなかったからでした。
数の分野とはどんなもの?
文章題、図形と違って、数の分野というとピンと来ない人もいると思うので、簡単に説明します。数の分野とは、大きく分けて3つ。整数、規則性・数列、場合の数の3つです。
この分野は、私が中学受験をした昔にはあまりなじみがない、というかイマイチ覚えていないんですよね。倍数や約数はすだれ算を書いてやったおぼえがありますけど。でも、簡単な数列や場合の数はあったんでしょうね。少なくとも難問ではなく小問として出されていたんじゃないかと思います。
それは息子の受験時代も同じで、難関校でなければ難問はあまりなかったような気がしています。それはたぶん現在もそんなに変わりないでしょう。
難関校は好きですよね、この分野。頭を使う問題を作りやすいので好まれているんですね。難しくなるとテンプレートに当てはめて解くことが困難な分野なので、考える力があるかどうか試しやすいのです。
東大の数学でも、必ずこの分野からの出題はありますし、微積分が範囲から外れている数学五輪での花形分野でもあります。特に場合の数は考え甲斐があって楽しく、地頭を鍛えるには最適の分野と思います。
数の分野の位置づけ
数の分野は算数の中でも数学に近いです。完全に具体性のない数の世界を扱うものも多く、取っつきにくさを感じるかもしれません。数学に近い分、論理的思考の比率は算数の中で最高です。
私がこの数の分野をやってみたときの出来具合はどうだったかというと、できるにはできるんです。けれども、これまた図形同様に時間がかかって仕方ない、とても受験では合格しない、という感じでした。
文章題の方も時間はかかりましたが、そこまでではありません。しかし図形と数の分野はちょっとかかり過ぎです。考える力としつこさで何とか正解を導くことができても、ちょっと息子に教えるには心許なかったです。そこで、どうすれば良いか考えました。
将棋と算数の類似点
ヒントになったのが趣味の将棋でした。
将棋の上達法には人それぞれいろいろな道がありますが、確実に有効なものはと聞かれれば、詰将棋と答える人が多いです。それも5手くらいまでの短手数の問題を数多くこなすのが良いと言われています。詰将棋は終盤の手筋が豊富で、それをたくさん身につけていることで読みを省略できます。省略できるからこそ、その分の思考をもっと複雑なところに割くことができるのです。(もちろん、序盤中盤にも手筋はあります。)
この方法は図形と数の分野でも応用できます。たくさんの手筋を知っていれば、思考を省略できてもっと難しいことに充てられるので、時間短縮になりますし、正解にも近づきやすくなるのです。
ここで図形問題の簡単な手筋を2つ挙げます。
Xの角度
補助線を引いて、外角定理2回で処理するよりも、3つの角度の和がXだと知っていれば時短になります。
1辺5㎝の正方形を並べた中におうぎ形2つ。影の部分の面積
うっかりおうぎ形の面積を求めたりしたら、時間10倍ですね。ちなみに正方形と同じ25㎠ですよ。
このまま問題になることは中堅校以上ではほぼなく、複雑な図形にうまく溶け込んで出現します。
次に数の分野の手筋を一つ紹介します。
これは手筋というより、定跡ですね。1−1/2+1/2−1/3・・・となって、残るのは両端、という問題です。こんなの初見で解ける小学生はどれくらいいるんですかね。これをベースにして応用問題もあったりします。知らなければとても制限時間内には困難です。
文章題の定跡と手筋
文章題にも手筋はあります。つるかめ算の全部つるにしてみる考え方や、植木算の1本足すやつや、消去算などは手筋ですね。知ってると便利です。
しかし、仕事算とか流水算とか損益算などという分類は必要でしょうか。それらは普通に比、速さ、割合がわかっていれば解けます。いろいろ名前がついているとごちゃごちゃしてわかりにくいと思います。そのため、私は息子にはつるかめ算以外、特珠算としては教えなかったです。
特殊算のような分類をしてパターンで解いていこうというのは、将棋でいうと定跡の丸覚えです。それをするとだいたい弱くなるんですよね。定跡は暗記ではなく理解と言われています。分類したとしても、きちんと中身を理解すれば良いですが、そうでなければ、ひとたび定跡を外されたらもうお手上げです。難関校で定跡通りの問題を出す学校はありません。
考えることを楽しむ
算数は手筋をしっかりと理解して繰り返し覚えれば、あとは思考勝負です。その考える力は、世間で言うところの頭の良さに直結してきます。算数・数学ができる人間が、できるという評価を受けやすいのです。そうであるならば、算数ができないのは非常にもったいない。どうせならば楽しめる方が良いに決まっています。
実際、考えることはとても楽しいです。息子に教えるために算数をやっているころは、趣味のひとつだったパズルでは物足りなかったものです。考えた末に答えに行き着くことができたときの快感は、そこらのパズルでは味わえないものでした。受験をしてこれができないのは、損をしているようなものです。ぜひとも算数の格別の楽しさを見つけてもらいたいと思います。私もこのブログを書くに当たり、久しぶりに算数をやってみようと思いました。
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