私が息子を塾なしで受験させると決めてから、最も気をつけたことはあまり勉強をやらせ過ぎないことでした。こなしきれる課題を与えること、オーバーワークにならないことに留意しました。
今回は、オーバーワークによって起こる学習における消化不良の弊害と、それを起こさないようにするためにどのようなことに注意を払ってきたのかについて書いていきたいと思います。
どうして消化不良になってはいけないのか。
昔よりやるべきことが増えている
中学受験が暗記型から思考型の出題傾向になって久しいという話を前回の記事でお話ししました。
勘違いしてはいけないのが、それによって暗記型問題が主流だった昔よりも、覚えることが減っているわけではないということです。昔と同じように覚えるべきは覚えた上で、考える必要がある問題が増えたということです。とりわけ中学受験においてはそうだと言えます。
昔は5、6年生の2年間だった塾が今では4、5、6年生の3年間になっているのは、教えることが増えたことも原因の一つでしょう。
やると決めた以上やり抜きたかった
私は、頭を使って考え抜くことを重視して息子の塾なしを決めました。昔よりも格段にやるべきことが多くなった塾では、じっくり考える暇があまりないと考えたからです。
また、一生途切れることなく細く長く勉強を続けるべきであるという信念から、勉強時間の制限もしていました。
参照:勉強は2時間まで
そのため、塾と同じようなカリキュラムで勉強を進めることはとてもできません。塾のようなノウハウも無いのに、そんなことをすれば確実に消化不良に陥ったでしょう。
塾なしにした以上、後悔しないよう、考える時間をしっかり確保しつつ、消化しきれる量の勉強をずっと続けていかなければ意味がありません。そんなこともできないで中途半端になるくらいなら、塾に行かせる方が良かったに決まっています。
余裕を失いたくなかった
一番嫌だったのは、忙しくさせすぎて親子共々余裕が無くなるかもしれなかったことです。
中学受験は親の意志です。小さい頃から受験するのが当然であるようにし向けてきたのです。それで息子が受験の意志を示したとしても、完全100%本人の意志とは言えません。それなのに、両親が息子の意志を超えてやる気を出すのは、正直言ってはばかられる部分が残ります。
それでも受験すると決めた以上、限られた時間で全力を尽くすと約束しました。でも、どう考えても無理なことを要求するのは酷な話です。だから絶対に、息子の消化能力の限界以上のことを求めたくありませんでした。
そもそも志望校に入れなかったからといって、人生終わるわけではありません。中学受験は特にそうです。結果より過程が大事という綺麗事がよく言われますが、私は中学受験に関してはそれで良いと結構真剣に考えていました。だからこそ、実力が出せるような環境づくりを大切にしたのです。余裕があってこそ実力は一番発揮できると思っているからです。
余談
立派なことを言ってますが、こんなものは親のエゴを薄めたいだけの自己保身かもしれません。親が望む方向に強引に引っ張ってやる方が、ずっと子供の幸せにつながるのかもしれません。何が正しいのか、子育てをしているときには答えは出ないものです。せめて後悔しないために、または後悔を少なくするために、信念に従ってやるしかないです。
現実には、そんな甘っちょろいことを言っているから、執念が足りなくて志望校に本当に落ちてしまいました。ご立派な理念を持っていたはずなのに、そのときはやっぱり落ち込みました。それだけ一生懸命にやった証拠かもしれませんが、全然平気ではいられなかったことをよく覚えています。理想と現実の違いを思い知らされました。これも今となっては良い思い出です。
消化不良にならないようにするには
適正な量と時間を守る
オーバーワークにならないようにするには、こなせる量の計画しか練らないことです。かと言って、あまり余裕が有り過ぎるのもいけません。ちょうど良い塩梅の計画を練るのも親の腕の見せ所です。適切な量をコツコツと毎日欠かさずやらせるように心がけました。
もしも決められた勉強時間を超えそうになったら、本当にすぐに終わりそうなとき以外は終わらせるようにしました。ダラダラ続けるとクセになってしまいますから。やるときは集中してやることが重要です。そのためにキッチンタイマーをよく使ってました。
思い切って捨てる
塾で教え過ぎなくらいたくさんのことを学ばせるのは、受験本番でやってないことが出たら、親からクレームが来るからだと聞いたことがあります。たぶん本当でしょう。実際にそんなことがあったら、文句を言ってくる親は絶対にいるはずです。
塾なしの利点のひとつはほどほどにやれるところです。受験は満点を取る必要がないばかりか、大概の試験は7割取れれば合格です。そのため、限られた時間内で勉強しようとすれば、9割〜満点を取りに行く勉強を捨てることも必要となります。
何でもやってやろうとしない代わりに、8割の精度を高めることです。細かいことを追い求めないで、誰でもできるところで絶対に落とさないことが塾なしの戦い方になると思います。結局このやり方は大学受験まで貫き通しました。正しい方法だと思っています。
最後に
中学受験はうまくはいきませんでしたが、それは他の要因の方が大きかったと分析しており、消化不良を防ぐという方針自体は成功したと位置づけています。だからこの方法こそ、塾なしで受験をする場合の王道だと信じています。やり直せても同じことをするでしょう。
今回は中学受験時の消化不良対策でした。高校での対策は大筋同じですが、若干異なるところもあるので、機会が来ればそのときにお話ししたいと思います。
ここまで読んでくださり、どうもありがとうございました。
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