塾なしでいくと決めた大きな理由は、自分の頭を使って考え抜く練習をしてもらいたい、といいうことでした。
詳しいことはこちらをご覧ください。
将来的には基本的に自分ひとりでやります。自分でテキストを読んで、そこに書いてあることを理解し、それを使いこなせるようになる必要がある。つまり自学自習できるようにならないといけません。しかし、小学生の頃からそれを求めるのは酷というもの。最初の内はいっしょに見てやって、どのような頭の使い方をすればよいのか、外してはならない勘所はどこなのかを身につけさせてやるのが親の仕事になります。
今回はその際の親の指導方法について解説します。
インデックス
他人の解説は入って来やすい
適切に声かけする
わかることわからないことを判別する
自分の言葉で言い換えさせる
要約させる
根気よく行う
叱らない
自問自答する練習
他人の解説は入って来やすい
有名予備校講師の授業を受けた、あるいは見たことがあるでしょうか。(今はyou tubeなどもありますから、簡単に見られます。)わかりやすく教える工夫もさることながら、話術も見逃せません。受講者に語りかけるように話し、絶妙な考える間を与えてくれて、何十人何百人の受講者ひとりひとりがいつの間にか対話をしているような感覚になる。そのように、一方通行のはずなのに双方向のような錯覚をさせてしまうような巧さがあります。
そこまでの技量のある講師でない、例えば普通の学校教師でも、教室の生徒に教えることができます。また、教えるのために大した工夫もしていない普通の大学生の家庭教師ですら、教える相手の数が少なければ教えられるのです。少なくとも、平均的な生徒が教科書参考書を独力で読んで学習するよりも、誰であれ教えてくれる人がいる方が学習効率は上がるものです。
そのポイントは外からの刺激です。相手の言うことに反応すれば頭を動かすことができるのです。これには何の訓練も必要ありません。
それならば、自分の中に対話の相手を用意できればどうでしょう。もう1人の自分に語りかけてもらって、それに反応するのです。そうすれば一人二役での対話が可能になって頭に入りやすくなるはずです。これをセルフ対話と呼ぶことにします。
「これどういうことだっけ?」
「言い換えるとどうなるだろう?」
「ちょっと待って、よくわからなかったからもう1回読んでおこう。」
「ここまでまとめてみよう。」
このように独り言を言うような感じです。独り言って確実にセルフ対話できて効果アリだと思っています。実際、独り言を言いながら勉強している人を見かけたことはありませんか? 怪しい人にしか見えませんが、中には自分自身と対話をしている人もいるに違いありません。でも一般的には変わった人扱いされかねないから、外では黙ってやった方がいいですね。何にせよ、こんなことができるようになれば独学が楽になるのは間違いありません。(この能力を「メタ認知」ということは後から知りました。)
適切に声かけする
大人だとセルフ対話ができる人も多いでしょうが子供にはまだ難しいので、隣についてやって訓練する必要があります。上記したような問いかけを要所要所でしてやるというわけです。
例えば算数の問題文を読んだ直後、あるいは読んでいる途中でも、どういう意味かを質問したり、言い換えや要約をさせます。そうやって、問題文を完全に読み込めるようにアシストしていきます。
最初は細かく区切りながら頻繁に対話していきます。生徒はひとりだけですから、次第に子供が何がわかって何がわからないのか、どんな思考の癖を持っているのかがわかるようになってきます。それらを加味しながら、少しずつ対話を減らしていき、最終的に子供自身の力で自己対話できるようになれば成功です。
声かけのやり方
わかること、わからないことを判別する
わかるわからないにも種類があります。もし、取り組ませている内容の中にわからない語句や用語があった場合、それはすぐに調べさせるべきです。いくら考えてもわからない場合が多いからです。類推してわかることもありますが、調べさせた方が良いことがほとんどです。わからないことは調べる、という良い習慣にもつながりますし。もっとも、類推するという行為も頭を使うので、ここは考えさせたい、と思えばやらせれば良いでしょう。そこは指導する側の好みです。
わからない言葉は全て調べたけれど、どういうわけか意味が頭に入ってこない、ということもあります。文と文のつながりや全体の構成がわからないというような場合です。こちらの方が本筋と言いますか、声かけの効果が表れやすいため、教える側の力量が試されることになります。具体的な方法を見ていきましょう。
自分の言葉で言い換えさせる
算数だと、算数独特の言い回しで問題文が書かれていることがあります。典型的なところでは「赤い玉は30個、白い玉は20個あります。赤い玉は白い玉に対してどれくらいですか。」のような問題です。
どれくらいって何だ?色が濃い?とか思う子供がいるかもしれません。これを正確に30個は20個の何倍か、という言い換えができないと困ります。この問題の書き方なら、赤は白より10個多い、でも正解なはずですが、それだと×にされかねません。言い回しのルールも覚えた上で、自分の言葉で言い換えられるようにならないといけません。
国語では、出題される本文はまず100%近く大人の文章です。しかも子供向けに書かれていないものの方が多くあります。読んですんなり頭に入るレベルのものなら問題無しです。でも、大人が大人に向けて書いた文章は、小難しい用語を使ったり、格好いい言い回しをしていることが少なくないです。そうした方が知的に見えるし、平易な言葉を使うと語彙力のないバカと思われると考える人もいますから、難しい文章がなくなることはありません。
それを子供に読み解かせないといけないのですから大変です。語句は当然調べさせた上で、必ず子供自身の言葉で言い換えさせないと、その文章を本当に消化することはできません。立ち止まり立ち止まり、丁寧に一文ずつ言い換えさせることが必要なこともあります。
「じゃあ、この文を自分の言葉で言い換えてみて。」という声かけを繰り返します。とても根気のいる作業になるかもしれませんが、それができれば次の段階に移ります。
要約させる
言い換えできるようになれば、次は文と文のつながりを意識します。そしてそれを全体に広げていくという作業をすることになります。
長めの算数文章題なら、結局何を求めれば良いのかをまとめ上げます。個々の文を把握して全体の題意をつかまないと、答えにたどり着くことはほぼ不可能だからです。問題を読まない、読めない子供は本当に多いらしいです。なんとなくで問題に手をつける悪い癖を直さないと先行きが暗いことを知らなければいけません。だからまずは、しっかり問題を読んで理解することの重要性を自覚させることです。
声かけは「問題は何を聞いているの?」が中心です。
国語なら言い換えができた文同士のつながりを考えて、まずは段落ごとにまとめさせていくことになります。「ここまではつまりどういうこと?」「一言で言うと?」のような感じで聞きながら進めていきます。ある程度まとまれば、要約を意味段落に広げていき、最終的には本文全体の言いたいことをまとめることになります。「この文章全体を短くまとめるとどうなる?」と、ここまでいけばとりあえず要約の完成です。
いろいろ書いてごちゃつきましたが、要するに自分の言葉で言い換えてまとめることができるようになれば良し、ということです。その助け船を出してやるのが「声かけ」です。
声かけの際に気をつけたこと
根気よく行う
考え方が定着するまでは、一文ごとどころか一語一語気をつけながらやるつもりで行います。あまり細かくやっているとすぐに忘れてしまいますから、すぐに立ち返り、何度も同じところをやることもあります。算数問題ならそれこそ、細かいところを言い換えながら片づけながら、何度も問題文を読み返します。10回以上読むことはざらです。
定着の確認は、子供自身に独り言を言わせながらやっていきます。独り言は外では口に出してはいけないよ、と言い聞かせておくことも忘れてはいけません。
叱らない
練習段階の子供は、はっきり言ってトンチンカンなことも言います。考えた挙げ句にそれ?と言いたくなることがあるかもしれません。そこに関して私は、勉強のことで叱らないという方針を貫いていましたから、気になりませんでした。
まとめ
- 自学自習する力を付けるには、セルフ対話で自問自答ができるようになることが望ましい。
- セルフ対話が可能になる頭の使い方を身に付けさせるには、適切な声かけ指導が適している。
できるようになるには個人差があるでしょうが、地道に繰り返すことで少しずつレベルが上がっていきます。いつしか算数は難問を解けるようになり、国語の難解な文章を言い換えなしのストレートで頭に入ることが増えてくるようになるでしょう。(もっとも私なんかは新書レベルでも、未だに自分の言葉で言い換えないとなかなか頭に入ってきませんけど。これに関しては家族で私が最低です。おそらく小さい頃の読書習慣が影響しています。)
いかがだったでしょうか。総論的でちょっと具体的な方法については分かり難かったかもしれません。科目別の各論については、また機会を作りたいと思っています。
ここまで読んでいただきまして、本当にありがとうございました。
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