こんにちは。大崎です。
私自身の中学受験のときには算数ができませんでしたが、理科についてもあまりできた記憶がありません。その後中学高校でも理科の成績はパッとせず、最後は私立文系に逃げて理科とはオサラバしたのでした。
そんな人間に理科を教えることができたのでしょうか。今回は中学受験理科をどのように進めたのかについて思い出していきたいと思います。
インデックス
使用テキスト
ベース本
ベースとなる本に据えたのは「小学理科か・ん・ぺ・き教科書 新しい教養のための理科」のシリーズで、基礎編、応用編ⅠとⅡ、そして受験編の4冊です。その中でも本当に使用したのは受験編のみで、それ以外は参考書といった扱いになりました。受験編は他3冊の総仕上げのための本で、とてもよくまとまっていました。もう少しじっくりと他の3冊も読ませた方が良かったとは思いますが、受験編だけでもベース本として十分な出来でした。
理科は問題演習中心
そこまで教科書を読ませることにこだわらなかった理由は他にもあります。理科は問題演習をやるべきと考えていたことです。社会の方は過去問以外ほぼ何もやらなかったのと比べると対照的です。
理科は科目の性質上、実験との関わりが深いので、そのデータの読み取りをしないと解けない問題が多くなります。そのため普段から問題に当たって慣れておくことが重要です。
使用した問題集は日能研ブックスの「データランキングシリーズ・出題頻度順問題集 生物・地学分野ランキング」と同じく「物理・科学分野ランキング」です。基礎力を固める役割は果たしたと思われます。
これだけでは難しい問題が少ないので、受験期直前にシグマベスト「最高水準問題集」の理科2冊をやらせました。こちらはレベルとしては申し分なく、力がついた実感がありました。正直言えば、問題集はこちらだけで大丈夫だったと思います。こちらにもっと早く取り組んで、複数回解かせた方が無駄なく力が付いたでしょう。ちなみに解答に数カ所ミスがありました。それが本当に間違っているのか検討するのも逆に力が付いて良かった気がします。今出版されている分は直っているのではないでしょうか。(調べていませんが。)
生物分野は社会に近い
一口に理科と言ってもかなり広い幅があります。大きく分けて生物・地学・化学・物理の4分野ですが、生物と物理ではかなり色合いが違っています。当然各分野ごとの取り組み方も違ってきます。順番に見ていきます。
生物は理科の中では覚えることが多い分野です。最も社会に近いと言え、その取り組み方は地理と同じでした。まずベース本から覚えることを抜き出して暗記法のフレーズを作ります。その数もそこそこ多くなるのが特徴です。暗記法を覚え、ベース本を読み、マインドマップ等にまとめる。その上で問題を解いて知識を固めていく。これが生物の基本の学習方法です。覚えさえすれば良いので大して教えることもなく、自力で勉強できる分野です。
覚えることが多い一方で、習った覚えのない内容の難問が出題されるのは生物分野が多いイメージです。生物はとにかく範囲が広いので、何でもアリ的な部分があるからでしょう。新傾向問題は生物分野に多かった感触でした。
そういう問題は難関校で出題されることが多いです。習ったことがないだけに、その場で問題を読んで考えないと対処できません。思考力が問われるというわけです。普段から頭を使っていればむしろありがたい問題なのですが、知識を頼りにするタイプの子は、初見の内容にパニックに陥ることもあるかもしれません。そんな問題に対応するために役に立ったのは、算数の問題を考えることだったと思います。
「植物のからだのつくり」についての暗記法です。生物のほんの一部でこの分量です。生物は社会に近いという意味がわかると思います。覚える量は多いですが、覚えてしまえばあとは自分で勉強できるので、教える方は楽な分野です。
原理を知ると楽になる地学分野
地学も覚えることは多い分野です。ですから学習方法は生物と基本的には変わりません。生物と少し違うところは、原理原則を理解しておくと覚える内容が少なくなるて済む点です。
地球と月の自転、公転を理解しておけば、日中の太陽の動き、夜の星や月の動き、季節により変化する太陽の傾きや見える星座について応用が利きます。太陽・月・星が1時間に約15°動くとか、1日経ったら前日よりも星は約1°進み、月は約12°戻るとかは、細かく暗記しなくても理屈でわかるようになります。
また、太陽、地球、月の位置関係を把握すれば、月の満ち欠け、日食月食、さらには内惑星の水星金星、火星、木星などの外惑星との見え方の違いも頭に入りやすくなります。
他にも流水の作用や地層のでき方なども、原理を理解していれば覚える手間が減って使える知識となりやすいところです。
ちなみに生物のエキスパートによると、生物でも原理原則はあるらしいのですが、私の頭ではそれを抽出することはできませんでした。そこは割り切って、生物は覚えることを徹底させた記憶があります。
さて、その原理原則ですが、子供が1人で本などを読んで学び独力で見つけてくれれば一番良いのですが、それは小学生には簡単なことではありません。そこは大人の出番です。大人の力で読みとった本質的なものを子供に伝えてやるのが親の仕事だと思って教えました。塾ではもっとうまく教えているのでしょうから、うまく伝わったかどうかはわかりませんが、おそらく何とかなったのではないでしょうか。
問題に慣れることが必要な化学分野
化学になると覚える内容は生物地学と比べるとガクッと減ります。物質の名称・用語として覚えないといけないことは、気体液体の名前をいくつか、三態変化、熱の伝わり方などに限定されます。その分それらの性質について覚えることになります。燃える燃えないだの、液体の性質がどうのこうのなどです。
そのように覚えることは少ないので、一定のラインまでは誰でも行けると思います。典型問題は理科の中でも落としてはいけないサービス問題です。差がつけられないよう、きっちりと正解する必要があります。問題演習をこなして慣れることで、自然と身につくと思います。
しかし、化学の難問は本当にやっかいです。やっかいというかめんどうくさいんです。それは計算の要素が多くなるからです。水溶液の溶解度の問題をグラフで与えられた数値を元にして考えていく問題などは、正確な計算力が要求されて大変だった記憶があります。気体の発生と水溶液の複合問題などはごちゃごちゃさせて混乱させようという意図が見えて、出題者の意地の悪さを感じました。確実に処理できる能力を計りたいんでしょうけど、そういう問題に出会うとうんざりしました。
水溶液のマインドマップです。化学のメインのところですね。これ以外には気体とその他少々ですから、化学の覚える量の少なさがわかります。
理解しないと辛すぎる物理分野
最後は物理です。この分野は覚えること自体が物理法則中心になるのですが、これを覚えるというか理解することが小学生の力だけではなかなか大変です。そのため息子の受験当時は、物理の難問は難関校でないと出題されない傾向でした。多分今も変わっていないでしょう。
それくらい物理は原理原則を理解するのが大変ということです。物理の難問は文系出身の大人ならだいたい苦労するのではないでしょうか。私も人生で物理は避けて通ってきたので簡単ではありませんでした。でも、自分の中学受験でやったことを改めて学んで理解できるようになったので、その喜びは格別でした。
電磁石でどっちがN極になるか、複雑な電気回路の明るさの比較、浮力の原理、レンズが結ぶ像の向き、光の屈折の原理など、私が小学生の頃には理解できていなかった項目の意味が分かったときには、感動したと同時によくあんなレベルで中学受験したなと怖くなりました。本当に基本的なところだけは暗記して何とかしのいでいたんですね。やっぱり小学生には生物や地学の暗記系の理科も必要だと感じました。そうでないと点が取れません。
だからこそ子供には、本質が理解できるまでじっくりと腰を据えて教えてやらないといけません。ひとつひとつ、一番簡単なところから理解させるよう努めました。根本のところを暗記ではなく100%理解しないと、物理は先に進めないからです。息子にはその点を特に気をつけて教えました。幸い算数で考えることには慣れていたので、理解するのに時間はかかりませんでした。やはり考えるということはとても大事なんだと痛感させられます。何も考えずに覚えようとしていた昔の自分は大マヌケですね。
物理は原理原則の理解が大変な分、理解さえしてしまえば問題を解くのは面倒ではありません。難問になると多少は複雑な設定はありますが、化学と違って計算が複雑なことはあまりないので、そんなに苦労しなかったと思います。
まとめ
生物
覚えることが多い社会系理科科目。
地学
覚えることが多いが、原理原則理解で覚える負担を軽減できる。
化学
覚えることは少ない。物質の性質を覚えていれば大体解ける。ただし計算がめんどうくさい難問がある。
物理
原理原則の理解が大変。でもそれさえ理解できれば難問にも対応可能。
理科は、基本的なところは4年生の頃から始めていたのに、難問に手を着けたのが6年生の秋以降でした。ちょっとなめすぎですね。それでも最終的には仕上がったのですが、もっと早くからやっておけば、得意科目にまで昇華した可能性もありました。今考えるともったいなかったです。
今回は理科について振り返ってきました。昔は理科ができなかった私でも、何とか最後まで教えることができた、と言って差し支えないでしょう。まあ、大人の理解力を持ってすれば、小学生の理科くらいは何とかなるということですね。
ここまで読んでいただきましてありがとうございました。
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