私が高知で中学受験をした昔は、3月下旬の入試でした。合格後小学校に行ったのはたったの1日だけ。あわただしい春休みを終えてすぐに中学入学という流れでした。
その頃とは様変わりして、現在では受験が終わるのが高知で2月中旬と1ヶ月早くなっています。これも受験勉強開始が4年生になった一因かもしれません。
その他の受験の盛んな地域での受験終了時期は、関西は1月下旬、関東では2月上旬です。中学に入学するまではまるまる2ヶ月はあることになります。この2ヶ月がとても重要で、中学生活に大きな影響を持つ可能性があるのです。
そこで、この2ヶ月間の過ごし方と、どうしてこの期間が重要かについてお話ししたいと思います。
インデックス
3.何をやるか
1.勉強習慣を維持する
大きな目的は勉強習慣を維持すること。これに尽きます。受験生ならば、直前期はかなりの時間を勉強に割いていたはずです。少なくとも2時間、普通であれば3〜5時間、多い人はそれ以上勉強時間を取っていたのではないでしょうか。我が家でも平日2時間はやれていました。
目標が目の前に迫っていたから勉強せざるを得なかったという事情はあったにせよ、せっかく長時間勉強する習慣がついているのです。いくら受験が終了し、たとえ目標の合格を手にしていたとしても、勉強時間をゼロにしてしまうことは大変もったいないことです。
約2ヶ月もの間何もしないと、また1から習慣を作り上げるのは大変です。止まっているものを動かすには力が必要なのに対し、少しでも動き始めていれば、その後は小さな力でも動かし続けることができます。だから勉強時間をゼロにすべきではないのです。
長い時間勉強できたのです。例えば4時間やっていたとしたら、2時間やるのは簡単だと思います。具体的な目安を言うのは難しいですが、最低でも1時間はやっておいた方が、円滑な中学生活をスタートさせられるのではないでしょうか。
2.ご褒美のあげすぎに注意
そうは言っても数年間の受験生活が終わって、親子共々一段落ついたとのんびりしたくなるでしょう。解放感から大いに羽を伸ばしたくもなることもあるはずです。受験のために我慢していたことも多かったので、いろいろと解禁することも出てきそうです。
例えばゲームです。受験後はやっていいと約束していたでしょうから、それは守らないといけません。でも際限なくやらせるのはどうでしょうか。受験が大変だった反動で、それこそずっとやり続ける子もいます。親もそれくらいのご褒美を与えても良いと甘くなりがちです。
勉強習慣がゲーム習慣にすっかり入れ替わってしまうと、元に戻すのは大変骨が折れます。中学進学後もそのまま続け、高校受験がないのをいいことに勉強をおろそかにしてしまうと、中高一貫校のメリットが台無しになってしまいます。ゲーム再開は仕方ないにしても、1日1時間等の制限は絶対に設けるべきです。
だから、合格したらいくらでも好きなことをしていいと約束するのは問題です。元ゲーマーとしてゲームの危険性がわかるだけに、ゲームを特に悪く言ってしまいますが、他のことでも制限なしで好き勝手していいわけではありません。まずは勉強時間を確保した上で、これまで我慢していたことをやらせるべきです。ご褒美は必要ですが、そのコントロールが親の大事な仕事ということになります。
ご褒美でも、旅行などに行くときはもちろん別です。久しぶりに勉強を忘れて羽を伸ばすと良いでしょう。非日常の空間においてまで勉強習慣うんぬんを気にする必要はないので、存分に充電して中学進学に備えてほしいところです。
3.何をやるか
先取りと教養
勉強習慣の維持が目的なので、何をやるかについてはそこまで重要ではありません。考え方は2種類あります。
中学の学習の先取りをして、入学後にロケットスタートを切り、成績上位に躍り出て学内で一定の地位を築いてしまおうという作戦がひとつです。勉強は回転数ですから、先取りしてインプットしておくことは、学校で習うときが2周目以降になります。授業もよく分かるでしょうし、定着度も高くなるので、とても理にかなった方法です。
もうひとつの考え方は、入学後の成績がすぐに上がるような即効性はありませんが、知っていると将来的に役に立ったり、教養が高まったりと、後々効いてきそうなことをすることです。
どちらを選ぶかは個人やご家庭のお好みです。科目ごとの特色もあります。何をするにしても勉強習慣は保たれ、損することは絶対にありません。次から科目別具体的に例を挙げます。
数学
数学は典型的な先取りしやすい科目です。中学受験経験者なら、春休みを含めた2ヶ月間あれば、中学数学を一気に最後まで終わらせることも十分に可能です。せっかくやるのであれば特殊算を覚えているうちに連立方程式まではやっておくといいと思います。
先取りしないならば場合の数、確率をこの機会にやっておくのはどうでしょう。パターン学習が効きにくく、じっくりと考えるのに適しています。それゆえ数学五輪や東大入試でも頻出で、しかも苦手にしている人が多い分野です。思考問題に慣れるとことができ、将来高い確率で役に立つので、個人的にはイチオシです。
中学受験で、場合の数があまり得意でない分野だったなら、月刊誌「中学への算数」で場合の数の特集回をやると良いでしょう。あるいは「高校への数学」で場合の数・確率(基礎編)の特集回の方が簡単かもしれません。それをやってから発展編の方に進むのが好ましいです。
英語
数学とは逆に先取りしづらい科目と言えます。というのも、英語は中学で使用する教材が判ってから、その音源を手に入れた後に進めていくのが正当な方法だからです。まだ何を使うか判らない段階から手を出せません。仮に使用教材が決まっていても、まだ教材が手元にあるわけではありません。入学後に配布される教材を2ヶ月先に購入して先取りしたとしても、どれくらいの効果があるかわかりませんし、教材が2種類手元に残るのも無駄です。それなら他のことをした方が生産的です。
帰国子女でないなら、発音を勉強しておくことがオススメです。必ずしも正確にネイティブっぽい発音を身につける必要はありませんが、英語には日本語にない発音がたくさんあること、どうやってその音を出しているかを知っているときっと役に立つと思います。発音をきっちり教わるかどうかは学校によって違うでしょうし、教えてくれるにしても温度差があると思います。(息子の中学では発音はあまり熱心ではありませんでした。)やっておくと、将来リスニングとスピーキングで顕著な差が出るでしょう。
手始めにアルファベットで発音の仕方を覚えます。我が家では「英語耳」や「UDA式」のDVDを使いました。Youtubeでもたくさん動画があるので教材には困りません。発音記号を読めて、発音を出し分けられるようにする事がさし当たっての目標です。
発音記号をマスターしたら「英語耳ドリル」をやることを推奨します。これは英語の歌をまずは100回聞き、発音記号を見ながら100回以上聞き、最後は100回歌うというparrot's law(オウムの法則)筆者が呼んでいる方法です。300回は最初の曲だけで、2曲目以降は上達して行く分少しずつ数は減ります。好きな歌が見つかれば、上達も早くなります。大変ですが、早い段階でカタカナ英語を脱却でき、いつの日か苦労が少なくなることが期待できます。(どうやら、英語耳ドリルは絶版のようですね。中古なら出回ってます。良書だと思うんですけど。)
国語
国語も先取りという科目ではありません。読書習慣をつけておくことが地味ですけど将来的に確実な国語対策です。来るべき古文に備えて、百人一首をすべて覚えておくのも手です。文法は気にせず、とにかく口に覚えさせていれば、古文を実際にやったときに効果がわかります。
勉強習慣の維持にこだわったのは、一生勉強という我が家の教育方針によるものです。日々コツコツ勉強するクセをつけることが実力をつける一番確実な方法です。
中学受験は大変だったとは思いますが、目標のひとつが達成したに過ぎません。大学受験もありますし、社会で活躍するためにもずっと勉強は続きます。それには勉強を習慣にして細く長く続けることが最も楽で最善な方法です。だから合格後も勉強をゼロにしないようにすることを強くオススメします。
コメントをお書きください