今回は息子の中学時代の数学の学習の進め方についてご紹介します。
中心となるのは学校の定期試験です。90%以上これにウェイトを置いていました。まずはその対策です。
あとわずかですが、学校の勉強以外のこともやっていますので、そちらも簡単に触れたいと思います。
インデックス
数学は日々の積み重ね
数学は地道に
数学は、毎日コツコツ学習するのに適している科目です。というよりは、地道にやることでしか力がつかない筆頭科目と位置付けていました。そのため、毎日30分〜1時間くらい予定を組んでやらせるようにしました。これくらいの時間をかけて問題を解くことは、小学校高学年時に習慣化されていて、それをそのままスライドさせるだけだったので苦労はありません。
気をつけたことは自分の力で考えさせることです。算数のときに、考えた時間に比例して力がつくという確信があったので、そのやり方もまたスライド採用しました。
考える時間をまとめて取るのは難しいので、毎日少しずつ時間をかけることが、数学の実力を着実につけていくことにつながります。日々一段一段階段を登っていくことが、数学を得意科目にする唯一確実な方法と信じています。
数学は一夜漬けもできなくはないが…
数学は間違いなくコツコツ学習に適していますが、定期試験で点を取ることのみに目標をしぼれば、実は一夜漬けもそれなりに効く科目です。
一回分の試験範囲はそこまで多くないので、一夜漬けをするだけでその範囲の数学の考え方をすっかり理解できなくはないでしょう。特に記憶力の良い子なら難なく覚えてしまいます。実際文系の中には、直前に解き方を覚えることで定期試験をしのいでいる子も大勢います。
でもその方法で真に実力がつくのは、理解力が人並み外れた天才寄りの才能の持ち主だけです。大多数の凡人は、試験が終了してしばらくすれば解けなくなってしまうでしょう。当然、模試や実力テストには対応が困難です。
天才の真似はなかなか真似できるものではないので、普通の人はやはり日頃から考える習慣を付けないと数学を得意科目にはできません。
どうやって「考える」のか
俯瞰力が鍵
小学校の頃から算数を半ば暗記科目のようにとらえてきた人にとって、数学を考えるとはどうすることなのか分からないかもしれません。なにか「ヒラメキ」が必須と誤解している人さえいるようです。
考えることにおいて我が家で重点を置いていたのは全体像をとらえることです。高いところから全体を見る、つまり俯瞰する力をつけることが思考の重大要素としてきました。
全体像を見る俯瞰ができれば大概の問題は解けます。最初からおぼろげに全体像が見えていて、それをはっきりさせるために細かい条件等を処理していく場合と、逆に条件等を片付けながら次第に全体が見えてくる場合があります。もちろん後者の方が難しいことが多いですが、どちらにしても全体を見通すことを目標として進めます。そこへ至る過程を「考える」と呼んで差し支えないでしょう。
うまく暗記すれば思考力は身につく
これまで算数、数学は暗記科目のように勉強してきたとしても、工夫すれば考える力はつけられます。
数学を暗記する場合は、手順に沿って解き方を覚えていくのが通常のやり方です。しかしそれだと、出題の手順を入れ替えられたりちょっと視点を変えられるだけで、覚えたことをなぞれなくなったりします。
それを防ぐために、手順を覚えた問題の全体像を作ってみてはどうでしょうか。条件等を処理した後の最終段階の図式化でも良いですし、最初からの手順をフローチャートにしたものならなお良いでしょう。それを1枚の紙にまとめ、上から俯瞰することで、その問題に関する肝心なポイントが理解しやすくなります。ただ手順を覚えるのと違い、確実に本質に近づきます。
その作業を繰り返していくうちに、だんだん考え方も分かってきます。また、俯瞰していくことでヒラメクことも増えていくはずです。
基礎をおろそかにしない
考えるためには、簡単な部分の思考については完全に覚えきることで省略することも大事です。はしょれるところがある分、難しいところをじっくり考えることができるようになるからです。
だから、問題集の一番簡単なところは甘く見ず、しっかりやるようにさせました。難しい問題も、分解していくと基本的な部分が浮き上がってくるものです。基礎問題をきっちり解いて理解しておくことで、難問をどうやって基本的なところまで落とし込んでいけば良いのか分かるようになります。
具体的な進め方
試験一週間前まで
問題集は学校で配布されたものを使っていました。定期試験に向けてはそれ以外にやっていません。
数研出版の体系問題集が配られたので、中学の時はそれをやりました。
高校ではそれに加えて、同じ数研出版の青チャートが配布されました。それ以降、中心は青チャートになりましたが、大系問題集もやっていました。
日頃は、1日何問というノルマではなく、時間を決めてやっていました。30分〜1時間の間です。30分を大きく超えたら新しい問題に着手することを控えます。ですから平均的には45分前後だったと思います。
問題の脇に、やった日付やできたかどうかの印をつけておき、すんなりできた問題以外は2周3周とやっていました。定期試験1週間前の発表日までに手を付けていない問題はなくなるのが理想です。もっともこれは、学校行事等で忙しくてうまくいかないことの方が多かったかもしれません。
試験前の一週間と試験前日
試験前1週間になると、数学にこれまでの大体倍くらいの1〜2時間取ることになります。この期間内にまだやっていない問題があれば、まずはそれを片付けます。そしてその後に難しかった問題の2周目以降をやりました。難問も一度は考え抜いているので、2周目以降はできるようになっていることが多くなります。
ここまでできていれば試験前日にはもうやることがありません。やってもやらなくても、実際の点数にはほぼ変化はないはずです。それでも息子は、前日にそれなりの時間を取って難問を解き直していました。
もうやらなくてもできるんじゃないかとか、他の科目をやった方が点が上がるんじゃないか、と助言はしました。でも息子からすれば、数学は得意科目で絶対に落としたくないという意識が強く、ミスが出ると大きく点が下がるので、精神安定の観点からもできる限り時間をかけたかったようでした。
数学は差が付きやすい科目です。中学のときは数学のおかげで、後々文系に進む子達より優位に立てていたことは間違いありません。その子達はどうしても数学を暗記科目としてとらえがちでしたから、ちょっとひねった問題を出されると引っかかってしまうことが多く、平均点が低いときほど差を付けることができました。それが分かっていたからこそ、息子も気合いを入れて数学に臨んでいたのでしょう。
定期試験以外の勉強
特に中学時代、数学は90%の割合で定期試験の勉強によって実力をつけました。(ただし、小学校時につけた考える習慣は除きます。)ですが、わずかながら他の教材も使用したので簡単に紹介しておきます。
・目で解く幾何
中学受験時にはスピードアップ算数という教材を使いましたが、その著者栗田哲也氏による問題集が東京出版の「高校への数学 目で解く幾何シリーズ」です。
- 直線図形編
- 円・三平方編
- 立体・座標編
の3冊あります。
図形に関しては思考だけではちょっと弱く、見ているだけで認識できる力もある方が有利です。将棋で言うところの「手が見える」「筋に明るい」という能力です。これは慣れるしかありません。
「目で解く幾何」は、1ページ6問を1問あたり30秒の計3分ほどで、鉛筆を使わずに解いていくことを最終的な目標としています。解き筋が見える能力は確実につくことが期待できます。
完璧に仕上げるには時間がかかるので、3冊とも満足いくくらいやり込んだとは言えません。でも中身は間違いないのでオススメできます。
広中杯・ジュニア数学五輪
広中杯は算数オリンピックの中学生版で、中1〜2年生限定のジュニア広中杯と中3までの広中杯があります。毎年6月に行われています。小学生のときに引き続いて、最後となる中3までチャレンジしました。
1月には数学オリンピックがあります。(同じオリンピックという名称ながら、算数オリンピックとは主催団体が違います。)中学生限定のジュニア数学五輪と無差別の数学五輪に分かれています。国際数学五輪の話題が夏に出ますが、その選手はこの数学五輪を国内予選として勝ち上がった学生から選抜しています。
どちらの大会も開催の2〜3週間前から準備をします。過去問中心です。もっと時間をかけて準備をすれば、予選通過のみならず決勝でももっと上に行けたでしょうけれども無理強いはできません。どちらかというと親の意向で挑戦していたので、私としては出てくれるだけでありがたかったからです。
決勝でメダルを取るような子はほとんど数学大好き人間です。それに引き替え息子は数学が得意科目ではあるものの、しょせん受験レベルです。それ以上の難問が出る大会は「好き」の要素が強いか、並外れた頭脳の持ち主だけです。
ただ難問であるだけに、短期間準備をするだけでも力がつきます。頭を使わないと解答に何が書いてあるかすら分からないからです。夏と冬の2回だけですが、そういう機会を活かすことはできたと思います。
まとめ
数学はコツコツ学習するのが実力アップへの確実な方法。天才なら一夜漬けも可能?
「考える」ことの重要な要素は全体像をとらえようとする俯瞰力である。暗記型学習でも、最後に俯瞰する習慣をつけると思考力も向上する。
定期試験に向けては、学校から配布の問題集で対処する。やはり日々少しずつ消化していき、試験直前は難問の解き直しを中心に行う。
定期試験以外の勉強もわずかながらおこない、それなりの効果があった。特に夏冬の数学の大会は、短期間だが有益だった(と思いたい。)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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