暗記科目は一夜漬けでもできるので、後回しにすることも多いのではないでしょうか。
目先の定期試験のみを考えるならばそのやり方でも良いでしょう。でも長い目で見たとき、それではもったいない。推薦狙い一本でなければ、大学受験はとりあえずの大きな目標なはずです。大学受験時の勉強を少しでも楽にするには、暗記科目といえどもコツコツと勉強しておいた方が良いに決まっています。実際その方が効率的でもあります。
今回はそのための勉強のやり方をご紹介します。対象は主として日本史等の社会科科目ですのでそれを題材にしますが、暗記系の理科科目や国語、英語にも応用は可能です。
インデックス
定期試験のみならず大学受験にも活かしたい
定期試験で暗記科目を勉強する場合、直前にまとめてやることが多いようです。試験一週間前から開始するのは慎重な方で、前日しかやらないという剛の者も少なくないでしょう。
その理由のひとつにはそれで十分に間に合うということもあるでしょうが、早くから始めても忘れてしまうという意識も根強くあるのではないでしょうか。ギリギリに頭に入れ、試験日までしのげればそれで良し、という考えはアリと言えばアリです。
その考えは大学受験においても似たようなもので、覚える比率の高い科目は開始時期が遅くなる傾向です。試験当日まで記憶が残っていればそれで十分、ということになります。
人間、追いつめられて切羽詰まったときの方が集中して勉強できるものなので、暗記ものは後回しにした方が効率が良いと感じられるかもしれません。でも、定期試験で勉強した内容をそのまま大学受験に活かすことができたとしたらどうでしょう。これこそ一番効率的と言えませんか。
まずは定期試験で良い点が取れるようにしっかり勉強しておき、その時の記憶を長く維持して大学受験にできるだけ使えるようにすることが狙いです。そうすること英数国他の非暗記分野も最後の最後まで時間がかけられます。もちろん暗記科目も回数をこなすためど忘れが減ることも期待できますし、理解が深まり考察問題や記述問題にも対応しやすくなるでしょう。
長期記憶にするには
記憶と経過時間と記憶再現率の関係を示すものにエビングハウスの忘却曲線があります。ご存じの方も多いと思いますが簡単にご説明しますと、覚えた物事は時間の経過とともに覚え直すことが困難になる、というものです。
グラフは「エビングハウスの忘却曲線の正しい意味」より拝借
(忘却曲線の意味を間違えていることが多いのですが、こちらの記事は正確でわかりやすい。)
20分後には、節約率が58%であった。
1時間後には、節約率が44%であった。
1日後には、節約率が34%であった。
2日後には、節約率が27%であった。
6日後には、節約率が25%であった。
1ヶ月後には、節約率が21%であった。 (Wikipediaより抜粋)
20分後ならば、最初(20分前)覚えたときの時間の58%を節約できるのに対し、1ヶ月後だと最初の21%しか節約できません。さらに時間が経過すると節約率は0%に近づいていきます。つまり丸々覚え直すのと変わらなくなっていくということになるのです。
この節約率の低下を防ぐには、覚えたことを復習をすることです。復習すると節約率は高いところまで戻り、復習を繰り返すと高いまま維持できる、つまりすぐに覚え直すことができるようになるのです。それはほぼ忘れなくなるということを意味します。
要するに、記憶を長く残すには繰り返し思い出すことです。理想的には、覚えて少し経ってから、寝る前、次の日、三日後、一週間後というように計画的に復習できれば良いと言うことになります。
でも勉強したことにいちいち日付をふったり、何日後にどれを復習して、などと考えたり記録したりするのは面倒です。そんなことに時間をかけることはムダというものです。
そこで考えたのが、定期試験の暗記科目の復習は毎日するというやり方です。そんな時間をかけられないと思うかもしれませんが、うまい方法があるのです。
学習方法
具体例がある方がわかりやすくなるので、戦後日本史を例にとって定期試験対策を見ていくことにします。
授業後すみやかにまとめる
授業があった日から2〜3日以内(できれば当日)に教科書、ノート、問題集等を参考にして覚えたいことを4秒以内のフレーズにして書き出します。
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以下が作ったフレーズです。
1 連合国軍最高司令官総司令部 GHQ
2(GHQ方針)軍と経済の弱体化と民主化
3 最高司令官ダグラス=マッカーサー
4 間接統治 内閣に指令・勧告
5 沖縄・奄美・小笠原直接軍政
6 五大改革指令 婦人労働教育圧政経済
7 20男女参政権 '46総選挙 女性39人
8 団結権団体交渉権争議権 労働三権
9 (労働)三法は 組合 基準 関係調整
10 義務教育9年 男女共学 教育基本法
11 6334 学校教育法
12 治安維持法廃止 軍国主義者公職追放
13 極東軍事裁判 A級7名絞首刑
14 経済民主化 財閥解体 農地解放
15 財閥の資産凍結 株式公売
16 財閥家族の財界追放
17 日本製鉄 王子製紙 三菱重工 企業分割
18 昭和21年元日 天皇の人間宣言
19 5月19日 食糧メーデー
20 11月3日公布 翌年5月3日施行
21 国民主権 人権尊重 平和主義
この回は21項目でした。1回の授業で出てくる覚えたい項目は多くてもせいぜい30くらいでしょう。
このフレーズを毎日繰り返し読むだけでも試験で十分に点は取れます。でもそれだけでは長期記憶として残すには少々弱くて印象に残りにくい。そこでもう一工夫。マインドマップを作ります。この21のフレーズから作ったマインドマップがこちらです。
暗記フレーズとマインドマップのふたつは密接に連動しています。だから、フレーズを読んでいる時にはマインドマップの位置を思い浮かべ、マインドマップを眺めている時にはフレーズが聞こえてくるようにすることで、どちらも強固な記憶として定着しやすくなります。
日々の復習はフレーズを読むか、マインドマップを思い起こしてみるか、またはその両方ということになります。
マインドマップを思い起こす時には枝(ブランチ)が空白のものを用意することもありました。
復習が進むと、空白部分に書かれているはずの言葉が浮かんでくるようになります。イメージとして覚えている上に、フレーズからも思い起こせるので、すぐにできるようになります。
フレーズを音読し、マインドマップを眺めるのにかかる時間は5分程度です。毎日復習と言っても、これくらいならばどうってことはありません。
授業数が増えていったときの復習法
マインドマップ1枚弱の分量が授業がある度に増えていきます。
すると、雪だるま式にかかる時間が増えていくと思うかもしれませんが、そんなことはありません。最初にやった授業の復習にかかる時間はどんどん短くなるからです。
毎日復習している成果で、再現にかかる時間はほぼゼロになっています。だからマインドマップをほんの少し眺めるだけでも復習になります。極端な話、1秒間見るだけでも立派な復習になるのです。時間がない時にはそれで済ませ、時間の取れる時にそれなりに時間をかけるようにします。大事なことは毎日続けるということだけです。
試験前1週間〜
定期試験の発表があると、だいたいテストの範囲が確定します。そこで、これまでに作ってきた数枚のマインドマップを1枚にまとめる作業をすることをオススメします。世界史古代の中国とヨーロッパのように明らかに相関性が弱い場合を除いて、できる限り1枚にしておくのが良いでしょう。
この1枚絵を見ながら復習します。これまでに日々復習しているので、一つにまとまったとしても、違和感なく入ってくるはずです。
1枚にすることでその時代の全体像を眺められます。すると、マインドマップ同士のつながりが見えてくることも多く、確実に理解が深くなります。全体を俯瞰することの威力がわかるでしょう。大学受験に向けても残すことのできるものとなります。
試験前日〜当日
試験前日にはノートと教科書を見返します。おそらく驚くほど理解できます。1枚マインドマップのどの位置の話をしているのか、自然と浮かんでくるに違いありません。これでほぼ完成ですが、次の日の科目に余裕があれば、市販の問題集などにも手を出します。東進の一問一答問題集などをやっていたと思います。
当日にはもう余計なことはせず、まとめマインドマップだけを持っていきます。そして時間の許す限り最後まで繰り返し見て確認します。暗記ものはもう完璧と思っているところからさらに繰り返すことで、少々緊張しても大丈夫なくらい確実に使える知識となるからです。
ここまでやっていれば、その日の試験で点が取れるのはもちろん、大学受験時にもかなり記憶が残っており、かなり有利な態勢から臨むことができます。
まとめ
- 暗記科目は定期試験対策をそのまま大学受験にも活かすべき
- 毎日復習することで記憶の再現率を高いままに保つことができる
- 記憶フレーズとマインドマップを連動させる
- 復習は1秒間でも見るだけでも良いので毎日続けること
- 作ったマインドマップは1枚にまとめて全体を俯瞰する
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