かつては脳科学者として一世を風靡し、著述所多数、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で司会を務めるなど、テレビ番組でも引っ張りだこだった茂木健一郎氏。しかし税金未納問題以降すっかり干されてしまい、Twitterで逆張りの発信をする人とみなされるようになってしまいました。近年の茂木氏の発言は賛同できないものが多いのですが、8月14日のニュースになんとなく同意できるような発言が見られました。
そのニュースはこちらです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b51388f5d8ee0bc99a5b0057788dcd16a2a5f134
「東大」と「クイズ」を安易にブランド化することへの批判し、東大まで行ってクイズをするのはダサい、クイズと東大を安易に結びつけてブランド化するのはどうか。というようなことを茂木氏は言っています。最近の茂木氏の主張は首をかしげるものが多かったのですが、このニュースでは何となく共感する部分も少しはあります。そこで今回は東大とクイズについての私の考えをまとめてみようと思います。
クイズと東大は親和性が高い
世間ではクイズができる人は頭のいい人として扱われます。宇治原史規やカズレーザー(タレントさんは敬称略で失礼します。)が代表格です。両人とももはやお笑い芸人と言うより準文化人であり、コメンテーター等を務めることがあるほどです。他にもクイズが得意な芸能人は何人かいますが、だいたい頭が良い人とみなされているように見えます。昔からそういう風潮はあったと思いますが、この10年数年のクイズブームによってより確立したと言えます。
クイズブームと同時かやや遅れて、東大生アゲが顕著になっていました。うちの息子が小学校の頃には始まっていましたから、これも10年は経っていることになります。最初多かったのは東大生を大勢スタジオに集めて、やや常人離れした東大生を見て面白がろうというものでした。面白がると言っても決してバカにするわけではなく、頭がいい人は普通の人とこんなに違うんだというところに感心する方向性でした。
クイズができる人は頭が良い。東大生は頭が良い。この二つが融合するのは安易というよりは必然です。互いに相性が良いからです。結果、東大生が出演するクイズ番組が多くなり現在に至っています。頭が良いことは一般的には憧れですから、クイズができる東大生をダサいと思う人はどちらかというと少数派でしょう。
クイズをする東大生は日本の知を底上げしている
ノブレスオブリージュというと大げさですが、東大が日本における最高峰の大学である以上、東大生にはそれなりの社会的責任があると考えます。日本の知の代表としての自覚を持ち、知力のレベルを高めることで、日本人の知のピラミッドの裾野を広げてもらいたい。勝手ながらこれが私の希望です。ノーベル賞などを取る研究者になることを筆頭として、政治、経済、工、農、医、あらゆる分野で日本をリードしてほしいものです。
その観点から見ると、クイズが得意でテレビ番組でその知識を披露することは、多くの日本人に知への憧れを抱かせるとは言えないでしょうか。茂木氏は「一番心が痛いのは、小学生なんかが、間違ってテレビ見ちゃって、将来は東大に入ってクイズをやりたいなんて言っちゃうことで、そういうのはやっぱり全面的に間違っていると思う。」とおっしゃいますが、この点ははっきり違います。
ちょっと前に見たクイズ番組で、小学5年生の少年が東大出身のクイズ界の出世頭である伊沢拓司に対し、ヒーローを見る目で尊敬していたのが印象的で、あんな風になりたいというのが伝わってきました。伊沢拓司はクイズ自体を飯の種にしてしまった代表格で、私も大変注目している人物です。
彼はクイズタレントとして数々の番組に出演している一方で、クイズや謎解きの会社の起業家でもあります。こう言っては失礼ながら、彼のクイズの実力は相当なものとはいえ、確実に日本一かというとそうではないでしょう。にもかかわらず一定の地位を築き上げている。これは、安易に作られたと茂木氏が批判する東大ブランド、クイズブランドを活かし切った大成功例と言えます。テレビに消費され食い物にされ使い捨てられるタレントも多い中、逆にしっかりと利用しているのは見事だと思います。
小学生がそういう東大出身のクイズタレントに憧れて、将来はああなりたいという動機で勉強することは良いことです。将来も東大生がクイズに出る番組が続くとは限らず、小学生の夢が叶うかは不明です。でもそういう憧れを抱き勉強して得たものは消えません。勉強していれば将来の選択肢が狭くなることはなく、なりたいものにはなれる確率が上がります。そうであるなら、東大生がクイズで活躍することは大いに役に立っていると言えます。それを「全面的に間違っている」とは間違っても言えません。
そもそも私はクイズ肯定派です。クイズの勉強で知識を増やすことは、誰にも迷惑をかけない絶対的な善だからです。知識ばかりあっても応用がきかず何の役にも立たないという意見は昔からありますが、それは誤りです。知識が多いことそれ自体に価値があるからです。博学な人は引き出しが多いからか機転が利き、話が面白いことが多いです。だからどんどんクイズに取り組めば良いと思いますし、クイズ王を尊敬することも正しいことと信じています。クイズをしたくて東大を目指すことには何ら問題はありません。
東大は本業でももっと頑張って
最初に茂木氏の見解でなんとなく共感する部分があると述べました。それは東大といえばクイズという連想が最初の方に出るようになってはちょっと寂しいからです。やはり日本最高峰の東大には本業でもっと頑張ってほしいと思います。世界に名が知れ渡るような人材をもっともっと輩出してもらいたいし、世界の大学ランキングでもトップ10に入るようになってほしいと切望しています。
特に医学部。毎年日本の最高級の頭脳を入学させているにもかかわらず、世界に冠たる実績を残せているとは言い難い気がします。今回のコロナに至っては、世に悪影響を及ぼすような東大医学部出身者が数名、テレビを賑わせていたようです。悲観的な予測ばかりして、当たらなくても謝罪なし。それでいていけしゃあしゃあと出演を繰り返す。ひどいものです。あれを呼ぶテレビもどうかしています。そんな輩ではなく、さすが東大出身というような人物をたくさん見せてほしいものです。
最後に茂木氏。東大生とクイズの結び付きを批判しましたが、茂木氏も東大出身の知性の(元)代表ですよね。脳科学者として本もたくさん出されていましたしテレビでもよくお見かけしたものです。クイズ番組にもよく出ていらっしゃったような気がします。それなのに今更批判はおかしくないですか。嫉妬と思われても仕方ありませんよ。もし茂木氏に脳科学者としての実力があって世間とニーズが合えば、もっとテレビで見ることができると思うのです。しかしながら一時期一世を風靡したアハ体験。見てるだけで脳に効くというふれこみでしたが、その効用を感じた人が少なかったのではないでしょうか。私はあれで頭が良くなった気がしません。もう少し工夫をしたもの、若しくは全く別のものを引っさげてくれば再び出番も増えるかもしれません。今みたいに逆張りのツイートをするばかりでは復活の日は訪れないと思いますよ。
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