世間では塾や予備校なしでは子供を高学歴にすることは大変困難であるというのが常識です。
実際、医学部に通う息子の同級生で、高校時代に予備校に通っていなかったのは、知る限り息子以外に一人だけ。また、8割以上は中高一貫校出身ですから中学受験経験者です。それはつまり彼らがほぼ全員塾に通っていたことを意味します。
ですから小学校から大学入学まで一度も勉強の塾に通わなかったのは息子以外にせいぜい2〜3人。ひょっとしたら息子だけかもしれません。
そこから判断すると、塾なしで難関大学に進学するのはほとんど不可能にも見えます。しかしそんなことはありません。塾に比べれば楽ではありませんが、十分に可能です。
そこで今回は塾なしでどこまでやれるのか、何を目指せば良いのか、親はどうすれば良いのか等考えていきます。
塾なしで最終的に到達できるレベルは?
結論を先に申し上げれば、たとえ東大であろうとも塾なしで合格することは可能です。うちの息子は東大ではありませんが高3まで東大を考えていて、東大模試でもA判定を何度も出しています。ですから東大も大丈夫だっただろうと言っても差し支えないと思います。
国公立医学部も塾なしで大丈夫です。ただし、東大理科3類と京大医学部は別格としても旧帝医学部もすべて大丈夫というのはややおこがましく、どこでもとは申し上げられませんが大体何とかなるということにしておきましょう。
つまるところそこまで可能なのですから、旧帝の普通学部や一工、早慶等一流私大も塾なしで十分に射程内です。そしてmarchレベルならさらに余裕でいけるはずです。特にmarchクラスは戦略を大きく間違いさえしなければ、確実に到達できると考えています。
独学できるようにしてやる
親がずっと教えてやれれば塾の代わりになりますが、多くの親がせいぜい中学までしか教えてやれません。仮に大学受験まで教えてやれるとしても、そんな時間が取れない親がほとんどですし、反抗期もあります。いつまでも親が教えてうまくいくというのは、我が家の場合とはまた全然違ったレアケースだと感じられます。だいたい親が塾の代わりをするという考え方は、本当の意味で塾なしとは言い難い気がします。
では何を目指すかというと、自ら勉強できるようにすることです。勉強の仕方を教え、考える力をつけさせることで理解力を鍛えます。そうすれば塾に行って勉強を教えてもらわなくても、参考書と問題集で独学できるようになります。そうなれば塾は必要なくなります。
塾でないと学べないということはありません。わかりやすくて良い参考書はたくさんあり、自力でも十分に学習できます。またどの問題集が優れているというような情報もいくらでも見つけられます。独学しようと思えばできる環境は、一昔前に比べれば格段に進歩していると言えます。もはや塾が絶対不可欠というわけではありません。
どこまで親が手を出すか?
しかしながら最初から独学できる子供はいません。自力で勉強できるようになるまでは伴走する必要があります。当然、教えてやらないといけない場面も出てきます。
教えるといっても、上手に導いてあたかも自ら答えに行き着いたようにするのが最上です。また、わからないことは手助けして調べさせたりと、将来の独学につながるようにやってやりたいものです。
ずっと付きっきりで教えることは不要です。そこまで教えることが多いわけではありません。子供に問題を解かせたりと自習させることの方がずっと長くなります。そのため、どの問題を解くべきか、何を読んでおくべきか、いつやるか等のスケジュールをする方がもっと大事です。その際はいつでも見守れるように同じ部屋で時間と空間を共有することをオススメします。
いつまでやるかについては中学が一つの目安です。私は中学になってから勉強はほとんど教えていません。その代わり、スケジュール管理は高1までしてやりました。先取りする場合の参考書や問題集を調べてやったりもしました。それでも高校の後半からは息子本人に任せるようになりました。というよりは、親離れしたのかあまり指示に従わなくなったので自然に終了した感じです。
※中学受験をさせたい場合
息子によると、塾に行ったことがないと言ってより驚かれるのは中学受験の方だそうです。中学受験の勉強を小学生が自力でやるのはちょっと困難ですし、受験レベルの算数を教えられない親も多いでしょうから、その反応も当然でしょう。
中学受験をするしないに関わらず、受験レベルの勉強はさせた方がベターです。学校の勉強だけではレベルが低くて困るからです。頭を使わせたい時期にちょうど良いのは受験レベルの勉強です。中学で一歩先んじるには数学の先取りよりも、難しい算数をやらせる方が考える力が身につくので有効だと認識しています。
我が家では大真面目に中学受験をしたのですが、難関校には失敗し中堅校に通うこととなりました。今でも実力は足りていたと信じていますが、ちょっと私の見立てが甘かったこと、志望校への執念が足りなかったこと、さらには運もなく残念な結果となりました。でもこの勉強をしていたからこそ、中学以降あまり手をかける必要のない人間に育ってくれたと確信しています。
ただし、どうしても灘・開成といった超一流校に通わせたい事情があるならば、塾に行かせておかないと後悔すると思います。
環境を整える
本来は塾に行く行かないに関係なく大切なことは、勉強はするものだという環境を整えることです。勉強をすることは無条件に善いことと決め、それを疑わない雰囲気をつくることが必要なのです。とりわけ塾なしで行く場合には不可欠となります。
あとは親が決してあきらめないことですね。余裕を持って勉強する環境をつくってあげてほしいと思います。もしきつくなってきたら、迷わず塾に送り出せば良いでしょう。塾なしが目的ではなく勉強させることが大事なのですから、そこは見失わないようにしたいものです。
問題は、地理的、経済的に塾に通わせるの困難なご家庭の場合です。そういうご家庭が教育のことを早々にあきらめてしまうのはもったいない。塾なしでもやれる。そう信じていただきたいと思います。その一助になれるよう頑張ります。
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