記憶から思考へ 時代の変化
私が学生だった頃とは比べものにならないくらい覚える量は減りました。バブル期の受験は本当に重箱の隅をつつくような暗記事項が出題されたものです。
その後詰め込み教育批判が起こり、考える力が重視されるようになって四半世紀。その間に教育を受けた子供たちが無事に考える力を持てたかというと、どうもそうとは言えない様子。
その理由は、どうやって考えさせる力が育てるのか、が確立されていないからです。段階的に思考力を育成できるような仕組みが公的にできていない現在は、教育者それぞれが最適と思う方策を編み出すしかない状況です。
そんな中、自称教育者(誰でもジャーナリストと名乗れるように、私が教育者と僭称しても許されるでしょう。)の私が推す考える力をつけるため方策は算数と文章作成です。
この二つは主に論理を鍛える学習ですが、論理を使いこなす補助として、物事を頭の中で思い浮かべる・イメージすることが効果的です。そのイメージする訓練として向いているのが記憶することなのです。
イメージは算数の役に立つ
頭の中に描き出すことが、考える上でどのように補助的役割を果たすのか算数を例に見ていきます。
この図は算数問題を考えるときのイメージの一例です。これはあまりに抽象的ですが、算数ですから実際はもっと具体的な絵や記号、数字や単位だと思ってください。問題文を読みながら全体像を頭に描き出していきます。
このようなイメージが作り出せれば、ほぼ問題は解けたも同然です。絵や図に沿って、式をつくり説明をしながら計算して答えをはじき出すのが勝ちパターンです。
イメージが思い浮かばない場合は、問題を繰り返し繰り返し読んでいきます。そうしていくことで、大体何とか構図が描けるものです。途中までしか想像できていなくても、そこまでのイメージ図を眺めていると、答えの糸口が見えてくることもあります。
算数の問題に取り組むときは取りあえず手を動かせ、とよく言われますが、それよりは問題の理解を優先し、イメージ図を作ろうとします。全然思う浮かべられなかったら解くことは難しいですね。
どうしてもダメそうな場合は動かせる範囲で手を動かして部分点を拾いにいくしかありません。
全体を俯瞰して構成を練る
文章を作成する場合、私はまずマインドマップを作って全体の構成を考えます。書きたいこと・書けることをたくさん出し、取捨選択しながら組み替えて全体像を作り出します。普段はパソコンを使っていますが、外では紙に書いています。
こんな感じです↓
このような1枚絵は、俯瞰して全体像を眺めることを容易にします。その結果、どういう筋道を立てていくのか、方針が決まりやすくなります。なにも決まらないまま書き進めていくよりも、わかりやすい文章ができあがるはずです。
現実には書いているうちに方針以上に脱線して、とりとめのないものになってしまうこともありますが、たまには予定から外れるのもまた一興です。
図と一緒に記憶する
頭の中で想像することが考える役に立つことがわかりました。ではそのイメージする力を鍛えていくにはどうしたら良いかというと、図や表に記憶したい項目を配置していく方法が適しています。ジャーニー法とか場所法とか呼ばれている記憶法です。
ジャーニー法は、自分の日頃よく行く場所や家の中の家具等に順番をつけ、覚えたいことを順番に置いて連想で関連づけ、思い出すときは順にめぐりながら回収していきます。あらかじめ順番をつけた記憶の置き場所を決めているわけですね。
今や記憶の世界大会などで、この方法は当たり前に使われています。その場で記憶しているに変わりはないのですが、事前に頭の中に準備をしていないと戦えないということになっているようです。
それほど能力の高い記憶法なのですから使わない手はありません。そしてそのためには、記憶の置き場所を作っていく必要があります。例えば次のようなものです。
最初の白地図は、都道府県や県庁所在地といった本来の憶えるべきものは当然として、全く関係のない記臆項目を47個分憶えることができます。県の特色と関連づけても良いですし、ただ置き場所にするだけでも十分に使えます。
白地図以外は、元素表の枠、二十四節気、100項目の枠です。100項目枠は歴史の1世紀分の置き場所にすれば、大体の年代も合わせて記臆できます。
こだわりたいのは、できるだけ1枚絵(漫画用語ではなく、純粋に1枚に収まるという意味)にすることです。記臆する項目は俯瞰で一気に見られる方がイメージとして残りやすく、忘れにくいと思うからです。
まずはこの置き場所をたくさん頭に入れてしまうことです。そしてそこに様々な種類の記憶を配置していけば、忘れにくくてすぐに引き出せる記憶の置き場になるというわけです。
しかもイメージで憶えるため、想像するのが得意になっていきます。そうすれば自然と、算数や文章のイメージ図の作成ができるようになり、論理を扱いやすくなるのです。
記憶から思考への移行は今ひとつうまくいっているとは言えず、今でも憶えることの重要性は失われていません。つまり記憶そのものもまだまだ大事で、それだけで十分な学歴は得られるほど。
とは言え、思考の重要性は今後益々増大していくでしょう。記憶と思考のどちらにも役に立つイメージする記憶を試してみてください。
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