今回はテンプレート算数はやらない方がいいよ、というお話です。
※この言葉は私が勝手に作りました。
テンプレート算数とは
まずテンプレート算数とは何かを説明します。
- 問題を種類別に分類。各類型の解き方の手順を憶える
- 問題をみて、これは「○○算」だと判断する
- 憶えている○○算の型に、問題の数字等を当てはめる
こういう流れで答えを出す方法です。解き方の手順の型には、公式、線分図、面積図等とがあります。
テンプレートの例としていわゆる植木算をやってみましょう。
問)20mの直線道路のはしから4mごとに木を植えます。何本必要ですか。
植木算のテンプレート
わり算をして、その答えに次の公式から合うものを選んで処理する
植木算の公式
・直線に植えるときは1本足す
・両端に植えないとき(電柱など)は1本引く
・池に植える場合はそのまま
直線なので、1を足す
20÷4+1=6 答 6本
これは(公式)をつかう例でした。他にも□□算には線分図、△△算には面積図を使う、というようなテンプレートがあります。
テンプレートのメリット
メリットは、典型的・基本的な○○算を解くスピードが速いことと、理解がそこそこでも○○算だ、と判れば解けるかもしれない、ということぐらいでしょうか。
デメリット1 考えなくなる
テンプレート算数の最大のデメリットは、考える力が育たない点です。
肝心の題意を考えるのではなく、どの類型なのか、そのテンプレート=型にどうやって数字を当てはめるかに力を注ぐことになります。
典型問題ばかりではないので、型にはめるのもそれなりに苦心するのですが、それは自分の頭で考えているのか疑問です。
私は、台本に沿ってしか動けない人を批判していますが、テンプレートは正にひとつの台本ではないでしょうか。自分で動くためには台本に頼るばかりではダメで、自分で考えることが不可欠です。
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デメリット2 応用が利かない
メリットで挙げたように、典型問題なら素早く解けます。それにちょっとアレンジを加えたくらいのものも大丈夫でしょう。でも組み合わせ問題から怪しくなる人が多くなります。これは○○算の問題と簡単に分類できないため、混乱が生じてしまうからです。
いわゆる「特殊算」がそのまま出題されるのは、中堅校の単答問題くらいです。難関校では問題の一部にその考え方が使われるに過ぎません。そうなるともうテンプレートは使用できず、自分の頭で考えるしかなくなります。
どうしてテンプレートを使うようになるのか
実はテンプレート算数の萌芽は小学校低学年のときから始まっています。算数のドリルでも単元テストでもテーマが決まっていて、それがたし算だとたし算、ひき算だとひき算の問題しか出ません。かけ算わり算でも同じことです。何の単元をやっているかわかっているので、数字を当てはめるだけで点が取れます。これでは頭を使うようになりません。
頭に絵を描く練習をする
絵を描いても記号でも良い
テンプレート算数を避けるには、早い時期から絵を描く練習をしておくことです。電線にインコが3羽、2羽増えると全部で何羽? なんて問題があれば、
イ イ イ ← イ イ
全部で5羽。
みたいな感じで図にする習慣をつけることをオススメします。ここではイ(インコのイ)と記号を使いましたが、簡単な鳥の絵を描いてもらっても構いません。○とか△でもいいですよ。
きれいな絵は想像する分にはいくらでもどうぞ。実際に描くと時間がかかり過ぎるので、あまりオススメしません。
算数といえば式を作るものと思っている子供が多いのですが、式は言葉の簡略化です。なければないで構わないと思っています。それこそ上の記号イと←だけでも、考え方がわかるので別に良いのではないでしょうか。
特に就学前に算数を教えるなら、式と計算よりも絵や記号の方が想像力がついて教えやすいし、将来役に立つかもしれません。
ただし、学校では式がないと×になる確率が高いので、式の練習は必要ですけど⋯
手数のかかる問題を
式一本だけで終わる問題ではなく、手順の多くなる問題を探して解かせることも良いでしょう。例えば、
家にチョコレートが6こありました。あそびに来たともだち2人が2こずつもってきてくれました。そのあと3人で1人3こずつたべました。いくつのこりましたか。
こんな問題を探すなり作ってやらせれば、テンプレートに収まりにくいので考える力もつきます。(答 1こ)
植木算の絵を描いてみる
上の方でテンプレートで解いたいわゆる植木算を絵を描いてやってみます。
問)20mの直線道路のはしから4mごとに木を植えます。何本必要ですか。
20mの道路の中に4mごとに区切ると,
20÷4=5
↑これが5つ
このひとつひとつに木を植える。そうすれば4mごとに植えられる。
植える場所は右側にする。
これを5つつなげると
↑この通り、左はしに植えられていない。木は5本だが、「はしから植える」ということなので、先頭の1本が必要。そこで1本加えて6本必要、とわかる。
こんな感じです。
本当にテンプレートは不要か?
私が息子に算数を教えるとき、特殊算はつるかめ算以外教えていません。どんな問題でも算数である以上、しっかりとイメージできれば解けます。
テンプレートの(公式)は、絵が描ければその都度導き出せますし、慣れれば自然と憶えてしまいます。すると、一周して(公式)を使っていることになりますが、理解して導いたものですから、よくわからずに憶えるだけと違い応用性も高くなります。
線分図はそれに近い絵を描くことも多いからいいのですが、面積図はちょっと具体的なイメージからかけ離れているので、使ったことがありません。てんびん図は図は描きませんでしたが、比を使った考え方はとりいれました。
絵を描いてイメージする方法の弱点があるならば、できるようになるまで時間がかかるかもしれない点です。
私の息子は低学年のときには普通にドリル等を使って先取り学習を急いだので、中学受験に移行したとき、できるようになるまでしばらく時間がかかりました。しかし、一旦イメージ力がつけばもう大丈夫でした。
その経験から、やり直せるなら算数初期にもっと絵を描かせる練習をさせます。そういう練習ができる問題も作って上げていきますので、どうぞよろしくお願いします。
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