医学生はプライドの高い人間が多いというお話です。マウントを取りたがる傾向が強くて負けず嫌い。そんな医学生の実態を息子から聞いています。お断りしておきますが、すべて息子の大学、しかも息子の学年に限った話であって、どの医学科にも共通するわけではありません。そこのところをご理解いただいた上でお読みください。
過去の自分でマウントを取る
入学後早々に勃発したマウント合戦です。男女問わず数人グループになったときのこと。まだ合格から1ヶ月しか経っておらずまだホットな受験の話題に。
そこでのメンバーが一番熱心だったのは、元々どこの大学を志望していたのか、という話題です。東大理Ⅲというのはさすがにいなかったそうですが、医科歯科や旧帝大を狙ってたんだよ、という主張を始めるそうです。1人が口火を切ると、数人が加わって盛り上がります。息子にも話が振られたので仕方なく正直に答えたそうですが、ナンダコリャって感じだったとのこと。
要するにセンター試験で思うようにいかなかったからこちらを受けたが、本当の実力は一段上なんだよ、というのが本音でしょうか。息子は、今同じ大学に来ているんだから、そんなことを言って虚しくならんかね、とも思っていました。
同じ流れで、高校時代に残した何らかの実績を話題にすることもあったそうです。進学校のさらに最上位クラスにいたとか、学年1位を取ったとか、数学がすごく得意だったとか全国模試の化学で名前が載ったとか、なんだかんだと自分を浮き上がらせようとします。
それならうちの息子は学年1位だったし、数学オリンピックでaランク取っているしで、結構優位性示せたんじゃないか聞きました。息子は自分からは言わなかった、自慢すると安っぽくなるから、と大人の回答。自慢は外でするなという我が家の教えを守っていたのがうれしかったですね。息子の実績は誰かが見つけたか噂で聞いたらしく、自然と広まったみたいでした。この方法が最良です!
出身高校によるマウンティング
大学が始まってからよく話題に上ったのは出身高校の話だそうです。どこの医学部でも、名の知れた有名進学校からの合格者がいて一団を作り上げることがあります。
一方、よく合格できたな、という高校の出身者(以下Z)もいます。偏差値的にも一番の番狂わせで、下克上を成し遂げた大成功者だと私は思うのですが、そういう扱いは受けないようです。
進学校グループがZのことをいじるのがメインとなります。一団はZをバカにして喜び、Zはバカにされて喜ぶという構図です。ノリの良さをベースにしたじゃれ合いといえばそうなんでしょうが、双方屈折したものがあって健全ではない気がします。
別の進学校同士の対立もあります。ある学校出身の一団が、他校の出身者らを特に根拠もなく敵認定していたそうです。敵にされた方の出身者らはあまりつるまないようにしようと決めていたようで、その時点で人格的に勝負ありですが、一方通行の対立でした。ちなみに成績は後者の圧勝だそうです。
そんな出身高校の話をやっと聞かなくなるまでには、2年生になるのを待たなければいけませんでした。
好成績を狙う
1年生
頑張って勉強して医学部に来たのですから、勉強ができることへの価値はしっかりと持ち合わせています。だから、前述した上位校を志望していたと表明した人たちはもちろん、大学ではよい成績を出してやろうと意気込む集団はやっぱりいます。
その逆の集団もいます。勉強しない授業も可能な限り出ない。最低限の勉強で進級してやろうと目論むグループです。最小限の努力で単位を取ることを喜びとします。それもまたひとつのプライドの表し方かもしれません。もちろん失敗して留年者も出します。
好成績狙いの集団は前期試験の結果が出ると、大量の離脱者が発生します。今は成績がGPAという数値化されて、上には上がいるとはっきりわかります。ひとまずあきらめて大学生活を楽しむことに切り替えます。
2年生
医学の勉強が本格化する2年です。1年の時に一旦は挫折した人たちの中から、もう一度やる気を復活させる人も何人かいるようです。
ただし、2年生は本当に大変なようで、成績を狙うのとただ単位を取るのとを比べると、労力は数倍違うと言います。だから動機はどうあれ、ここで勉強できた人たちは将来信頼に足る医者になる確率が高いと思います。
また、2年の時に周囲から成績がよいと認められれば、その評判は長く続くとのことなので、コスパが悪いばかりではありません。やっておく価値はあります。
CBT
3年か4年のときに実施される、病院実習のための試験がCBTです。これまでに好成績のメインストリームから脱落していた人たちが、一発逆転を狙って密かに力を入れている試験でもあります。
上位者の発表があるかないかは大学によって違うので、成績上位者が必ず知れ渡るわけではありませんが、マウントをとりたい学生はちゃんと自ら公表するのでわかります。
これ以降は成績によるマウント争いをする場がなくなります。
早期脱落組の異質なやり方
勉強を早々にあきらめてしまったグループの一部にも、彼ら独特のマウントの取り方があるようです。
リア充を最重視して熱心に動きます。そこまでなら若者らしくて大いに結構なんですが、その先がいけません。彼女がいるのにマッチングアプリで出会いを求め、二股をかけるというのが数人いると聞いています。人数で勝負したりもします。そういうことを平気でする人たちが、将来は下半身のだらしない医師になってしまうんですね。医師になればますますモテるだけに、拍車がかかりそうです。
たばこを吸うのもやはりマウントの取り方のひとつです。医師の喫煙率は低いと聞いています。それは喫煙が健康を害することを実感しているからです。医学生もたばこの弊害は勉強させられるし、患部の写真等もたくさん見せられて本当に危ないとわかると言います。それにも関わらず喫煙者になる。命知らずとうそぶいているのか傾奇者のつもりなんでしょうか。息子曰く、あいつらは授業出てないから、ということですが⋯
医学生のプライドの示し方をいくつか見ていただきました。
やはり勉強ができることが一番価値のあるプライドの示し方のようです。勉強をあきらめて楽しくやっている人たちも、成績の良い集団に対して、勉強ばっかりしてバカみたい、というような悪口はあまり言わず一目置いているそうです。一歩学外へ出れば、周囲から頭が良いと賞賛される医学生です。頭の良さは重要なアイデンティティーなので、それをバカにすることは自分を批判するようなものだからでしょうね。
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