今回は山陽道。兵庫県南部、岡山県、広島県、山口県です。瀬戸内海沿岸の本州側に当たります。全部で8カ国。比較的耳馴染みのある名称が多く、憶えやすいと思います。
ぜひダウンロード教材もあわせてご利用ください。
①播磨
現在の兵庫県南西部です。摂津、淡路、丹波、但馬、播磨に分かれる兵庫県の中では播磨が一番広い面積を持ち、東播磨、北磻磨、中播磨、西播磨と4つの県民局(支庁)があります。
播州手延べそうめん「揖保乃糸」は兵庫県手延素麺協同組合の商標。組合に所属していて、条件を満たした会社だけが「揖保乃糸」を製造販売できます。
伝統工芸品に播州そろばんがあり、小野市を中心に生産されています。
②美作
現在の岡山県東北部です。
元々は備前の一部でしたが、8世紀前半に分割されました。
美作といえば宮本武蔵の生誕地として知られていますが、実は播磨説もあります。しかしもっとも読まれている吉川英治の小説で美作説を採っており、作州浪人という触れ込みも広く知られているので、武蔵美作生誕説ほぼ既成事実化しています。
③備前
現在の岡山県東南部です。岡山市はここにあります。今は香川県に属する直島、小豆島も備前でした。
備前焼が有名で、うわぐすりを使わず高温で焼くため。素朴な土の質感と硬さが特徴の焼き物です。
日本刀「備前長船」もよく知られています。刀工流派の名称で、ブランド名と考えて良いと思います。
④備中
現在の岡山県西部です。現在の中心都市は倉敷市です。
江戸時代に備中で考案された、刃先の分かれた備中鍬が有名です。
「天空の山城」と呼ばれる。備中松山城は現存十二天守の1つです。備中には高松城もありました。羽柴秀吉の水攻めで知られる城です。この時に本能寺の変が起こります。秀吉はすぐに講和に持ち込み中国大返しを行いました。現在は城跡が残っています。
⑤備後
現在の広島県東部です。
元々、備前・備中・備後 は吉備国でした。吉備はきびだんごの由来になった名前です。おそらくヤマト王権(大和朝廷)が吉備国を従えたのちに勢力削減のために三分割したと考えるのが自然です。現在、吉備というと岡山のイメージしかないのは備後にとって残念です。
伝統工芸品に日本3大絣(かすり)のひとつ、備後絣があります(他は久留米絣、伊予絣)。
⑥安芸
現在の広島県西部です。
安芸といえば安芸の宮島。日本三景の1つで、世界遺産厳島神社があります。
安芸高田市、安芸太田町、広島市安芸区があります。
高知県に同名の安芸市があります。安芸国にある東広島市には河内(こうち)駅があります。
⑦周防
現在の山口県東南部です。
別名は防州ですが、周南、周東というように、地名には周の方が使われています。珍しいと思います。
瀬戸内海に周防大島町があり、大島大橋で本州とつながっています。
⑧長門
現在の山口県北西部です。
別名の長州の方が有名で、長門は戦艦のイメージが強いかもしれません。
毛利家の長州藩は長門、周防が領地だったので、山口県=長州と思っている人も多いようです。周防出身者に「長州の方ですね」と言っても、「私は防州(周防)です」という人は少なそうです。
長州は薩摩と並んで明治維新の主役です。木戸孝允、大村益次郎、井上馨、伊藤博文、山縣有朋らが明治新政府を支えました。
以上、山陽道でした。山陰道とうって変わって人口の多い都市も多く、明るい雰囲気です。瀬戸内で雨が少ないのも陽のイメージを作り出しているのかもしれません。山陽新幹線が通っているのも大きいと思います。
やはり山地というのは往来を妨げる障壁なのでしょう。中国山地に隔てられた鳥取島根、四国山地に隔てられた高知。発展から取り残されています。ただし、交通の便が昔とは格段に変わってきましたし、リモートワークによる地方移住も今後期待されます。ただ、日本の人口が減ってますからね。これをなんとかしないと、田舎は廃れていってしまいます。
最後、山陽道と関係ない話になってしまいました。ともかく、比較的憶えやすいのでぜひ山陽道の旧国名に取り組んでみてください。
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子供でも使いやすいようにできるだけふりがなを振っていますし、長押しすれば辞書も表示されます。ぜひお使いください。
次回は西海道です。
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